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ハリマオ

大東亜戦争前の東南アジア諸国およびインドは ヨーロッパの植民地でした 経済は華僑が牛耳り(日本の江戸時代も長崎出島の交易は華僑が介在し 両方から利益をせしめていました) 行政はイギリス・オランダ支配下のインド人が担っていました 宗主国は直接手を下さない 二重支配・間接支配の構造です

インド独立を目指す志士たちが日本を頼って亡命すると イギリスやオランダと結託して利益を得ていた華僑は 東南アジア在住の日本人を頻繁に襲撃するようになりました
これに対して立ち上がったのが「マレーの虎・ハリマオ」です 植民地支配からの独立運動を進める 現地の志士たちと共に 英・蘭・華僑を翻弄しました

ハリマオこと谷豊は 2歳の時に理髪業を営む父母と共にマレーに移住 成人した頃にはムスリムとなっていました
徴兵検査を受けるため日本に帰国していた時 マレーの谷家が華僑に襲われ 小学生だった妹が惨殺されました
そのため谷一家は日本に帰りましたが 豊は入れ替わるように単身マレーに戻り 華僑の横暴を誅罰する活動を始めたのです

インド独立と日本

大東亜戦争開戦後 谷豊はインド独立運動を援助していたF機関に協力して 英印軍が中心の連合軍を攪乱する任務に就き ハリマオとして名を馳せました
東南アジアで日本軍が英軍に大勝したと喧伝されていましたが イギリス側部隊の半数以上は 植民地であるインドから狩り集めた兵で構成された 英印軍でした

当然イギリスに対する忠誠心は薄く 日本軍に投降する将兵が後を絶たないという情勢でした 艦長以下ほぼ全員がインド人のイギリス巡洋艦が 本国に対して反乱を起こしたりもしました
投降したこれらの兵たちがチャンドラ・ボースのもとに参集し 日本から供与された武器を執ってインド国民軍を編成 イギリスの植民地支配から独立する道筋を作るに至りました

日本は亡命していたチャンドラ・ボース ビハーリー・ボース両雄をイギリス官憲から擁護 資金と武器を提供して インド独立に力を尽くしたのです
極東軍事裁判でインドのパール判事が ただ一人敢然と日本の正当を主張したのは このような経緯があったからです インドは信義を貫きました


日本が戦に負けると歴史は改竄されました 文字通りの墨塗り教科書です インド独立はカンジーの断食に手を焼いてイギリスが引き上げたことになり ハリマオはただの盗賊団の首領とされたのです そのほかにも東南アジア諸国の独立に尽力した日本人が 数多くいましたが顧みられることはありません
映画「戦場にかける橋」で描かれたのはもちろんフィクション[01] … Continue readingですが イギリス人捕虜が下士官と将校なのは事実に即しているかもしれません (実際は将官クラスのインド人も多数いました 捕虜ではなく〈インド国民軍〉に参加しています)

今に続く植民地支配の影

チャンドラ・ボースはインド独立の立役者でありながら カンジーやネルーといった一派から排斥され非業の死を遂げています ビハーリー・ボースはインドに戻ることなく 日本でインド料理人として生涯を終えました
インドはイギリスから独立したものの カースト制が改められることはありませんでした[02] … Continue reading 植民地二重支配は被支配地の身分制に依拠したものです 身分制度から脱するのは容易ではありません

隣国ビルマでは 南機関から資金と武器を援助されながら イギリスに寝返ったアウンサン将軍[03] … Continue readingと 越後・石打に匿われていたバーモウ首相[04] … Continue readingの角逐がありました 今日の停滞を招く遠因です 独立を果たしたといえ イギリスの影響下から免れることはできていません
[05] … Continue reading

負ければ賊軍といいます 京の安寧秩序を守った守護職会津藩は逆賊とされ 会津侯お預かりの新選組も 明治以降は無頼の徒扱いでお尋ね者でした[06] … Continue reading
子母澤寛氏の著作等により 新選組の名誉が回復されたのは 明治維新から約60年後のことです 大東亜戦争から70年が過ぎます アジアの混迷は深まるばかりです

それにしても東南アジアはまだ良い方といえます アフリカなどでどれだけ非道なことが行われたのでしょう 日本人の我々では せいぜいアルチュール・ランボーの書簡で窺い知るくらいしかありません
パナマ文書にも華僑らしき名前が散見されます 植民地から収奪された膨大な隠し資産の実態が明らかになるでしょうか 期待できない気がします それこそ歴史認識が改められることに繋がりますから

註釈

註釈
01 これは宣伝映画ですね 登場する日本の軍人は まるで実写版ポンチ絵のように カリカチュアライズされています 意図した演出です 映像の影響力を軽く見てはいけません このようなイメージが意識下に刷り込まれ 南京大虐殺や慰安婦問題また徴用工といった 事実無根の亡霊が実体化して独り歩きし始めます
02 ガンジー・ネルーにカースト制を疑問視する意識など微塵もありません いってみれば当然のことで ヴァルナやカーストは宗教(バラモン教)の教義に基づく制度です カースト制はヒンズー教にも受け継がれました これを否定することは棄教にも等しいのです インドがイギリスから独立した後パキスタンが分離したのも宗教上の争いによります
03 アウンサン将軍はMI6のエージェントだったのでしょう 日本の南機関に近づき武器弾薬と軍資金を手に入れると すぐにイギリスに寝返っています 娘のスーチーはイギリスで育ち イギリス人と結婚しました 本人もおそらくイギリス国籍です
04 ビハーリー・ボースが頭山満に匿われ 新宿中村屋に身を寄せたのは広く知られています チャンドラ・ボースは参謀本部が保護し バーモウを新潟県石打に匿ったのは陸軍中野学校でした
05 アウンサン・スーチーを担ぎ出し 悲劇のヒロインに仕立てたのも イギリス・アメリカによる宣伝工作です アウンサン・スーチーは軟禁されたといっても 広大な敷地の邸宅に住み 湖を介してアメリカ大使館と隣接しています イギリス・アメリカの援助で何不自由ない生活を送っていました(後に大統領を超えた地位について君臨するところは 植民地二重支配を思わせます 植民地政策の亡霊のような姿です)
06 漫画や小説で 鞍馬天狗が子供たちの人気だった頃 新選組は完全に悪役でした 新選組が不逞浪士(勤皇の志士?)を追捕しようとすると 鞍馬天狗が現れ6連発を放ちます 新選組が身をかがめた隙に浪士が逃げる 天狗は「近藤君また会おう」の捨て台詞を残して 白馬に打ち跨り去っていく 着流しで馬に乗っていたのか?

カテゴリー: 情報戦・心理戦一般