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タグ: ユーザーエクスペリエンス

やってみなはれ

「やってみなはれ」寿屋(サントリー)創業者鳥井信治郎さんの言葉です 自分ではやらないわけですが そのための資金とやってみた結果には社長が責任を持ちます 青色LEDの製法を発明した中村修二さんが勤めていた時期の 日亜化学工業の初代社長もそういう人だったのでしょう

それに引き換え二代目は見苦しいですね 何のためにあんな薄汚い個人攻撃をするのでしょう 追い出した中村さんがノーベル賞とったんで 悔し紛れの捨て台詞? こんなことだから日本の技術は全部中国に持っていかれるのです

Googleの企業理念に「Be bold and experiment … and learn from it」というのがあります 試してみなければ結果はわからない 失敗を恐れていては何もできない

マイクロソフトのオフィス(ソフトウェアでなくフィジカルな方)は各人に個室が与えられていて 余計なものに惑わされない 大変に統制が取れた社風のようです
グーグルは机と椅子はあるのですが オフィスに仕切りはなく どこでどんなスタイルで仕事をするか各自の自由です 広大な敷地内で寝泊まりする人までいます
フェイスブックのオフィスも オープンスペースに各自のデスクがあります そのほかに大小の部屋が数多くあって 支給されるノートパソコンを持って自由に部屋を使えます

Googleのホームページはこれ以上ないほどシンプルです 創業者の一人であるラリー・ページによると「自分はあまりhtmlに詳しくないので」だそうです ジョークのようでグーグルの理念そのものとも言えます
取って付けたような後理屈のユーザーエクスペリエンスとか 変にこねくり回したユニバーサルデザインなんかじゃない 直感的に使えるどころか余計な操作をする余地さえない 間違うことができないデザインです

iPad・iPhoneに取説がないのも同じことです 日本流のお客様指向でいえば こんな不親切なものはありません マニュアル無し 自分で考えて使うというのですから ユーザーに対しても「やってみなはれ」です
でも自由に使ってちゃんと応えてくれるし壊れることはない 外見はシンプルであって迷うことはなく それでいてバックグラウンドは作りこんでいます

これに反したものが トヨタ・プリウスのシフトレバーです 見た目の形・デザイン先行で実に分かりにくい マニュアル車ともオートマチックとも違います 両方を取り交ぜたような感じです
シフトレバーといっても実体はセレクター・スイッチです なのにシフトレバーの形にする発想が そもそも間違っていると思います しかも その時のシフトの状態にかかわらず レバーの位置が常に一定という 実に中途半端なものです[01]トヨタの豊田章男社長は自分でレースをやります おそらくレース車両はマニュアルのシフトレバーだと思います 社長の意向なんじゃないかな

UIのことをまるで考えていない もともとプリウスは従来の車とは違うものですから 操作性が変わるのは当然です ならばそのような操作系にしたほうがむしろ理解しやすい
実際あまりに使い勝手が悪いので スイッチ操作にした後付けの交換部品が サードパーティ各社から出ているようです

それにしてもプリウスのリコール多いな 他に先駆ける形でいち早く市場に出してシェアを奪い(役人が絡んで補助金まで出していました) 具合が悪かったらそのたびに手直しするということですか 一般ドライバーがテストすることになる この「やってみなはれ」は大変危険です

2021年7月7日追記=目先の利益だけを求めた結果 日本では電気自動車(EV)の開発は等閑にされました テスラの成功により世界の潮流は大きく変わったのですが 長期の展望を描くことなく見過ごしました 日本の自動車産業は取り残されることになるでしょう すでに佐川急便が中国製電気自動車を採用するなんて言い始めたようです)

註釈

註釈
01 トヨタの豊田章男社長は自分でレースをやります おそらくレース車両はマニュアルのシフトレバーだと思います 社長の意向なんじゃないかな
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ユーザーエクスペリエンス

昔は郵便小包を出したら箱や中身が壊されるのを覚悟しなければなりませんでした かつて物流は国鉄の貨物便が主でしたから 郵便小包も貨物列車で運ばれました
郵便局から国鉄の手を経て小包が運ばれるのですが 全逓と国労の荷物の扱いはそれはひどいものでした 手で持って運ぶことをしません 抛り投げるのです その様子を何度も目撃しました

郵便小為替の抜き取りもけっこう頻繁にあったし 郵便小包の配達を時間指定して その通りに届いたことはありません 自分に都合の良い時間で配達し平気で不在票を入れます しかも再配達ではなく 印鑑を持って本局まで取りに来いと書いてあります

「ユーザーエクスペリエンス」とかいう よく分からない言葉があります UXと略称され 直訳すれば「利用者の体験」です 郵便小包では日本国民全員が大変な利用者の体験をしてきたわけです
旧国鉄と旧郵政省だけではありません 日本の家電メーカーにとってのお客様は 利用者(ユーザー)ではなく問屋や小売店でした(ナショナル店会・東芝リンクストア・日立チェーンストールなど) 当然「ユーザーエクスペリエンス」に思い至ることはできません

日本の企業にありがちな 痒い所に手が届く気配りが「ユーザーエクスペリエンス」じゃない 単なる操作性とか使い勝手を意味する「ユーザーインターフェイス(UI)」でも説明できないものです そんな小手先のことではない
「ユーザーエクスペリエンス」はユーザーが自らの判断と経験で 主体的に製品・サービスを利用したいと思う価値観の共有です 顧客満足に近い概念かもしれない

マーケティングデザインとユーザーエクスペリエンス

インターネット・マーケティングの課題は「問題の解決方法を提案」でなく 「真の問題点を見いだす」ことです つまりソリューションではない

この真の問題点は マーケットリサーチやグループインタビューといった 旧来のやり方では見つけられません またビッグデータとかいうものでもだめです
なぜなら真の問題はユーザーよりも たぶん企業側にあるのです だからいくらリサーチしても どのような統計数字を持ってきても問題点は見えてこない 問題点が明らかにならないから方針が定まらないことになります

旧メディアを使う広告・広報・販促等のプランニングは クライアントから与えられた事案の最適解を提案することが主眼でした 問題点は最初から明確に示されます
そこには強大な影響力を持つマスメディアを通じて コンシューマーの行動をコントロールできるとの前提がありました 問題点に疑問を持つ必要などなかったのです

インターネットの時代 この大前提は崩壊しつつあります(最初からそんなものは幻想だったのかもしれません) 旧メディアの権威失墜が大きな要因です 新聞にニュースは見当たらず 雑誌は存在意義を失い TV番組は映像作りを放棄してしまいました
マスメディアが情報を発信する オーディエンスは受け取るだけ という図式はもはや成り立ちません

一方的な情報発信でない双方向時代のマーケティング事案は テクノロジーなんかで解決できません ヒューマンリレーションが大きな力を持ちます 人の心に訴えかけること 互いを尊敬することが大切です
この情勢を理解できない 旧来型の思い上がったマーケティングが ユーザーから手痛いしっぺ返しを受けています ユーザーと信頼関係を築けなければ インターネット・マーケティングは成功しません

お客様指向ってあり得るでしょうか お客様のご意見を製品開発に生かす? そうではない お客様とどのような関係を築くかが大事なんじゃないか つまり企業姿勢や製品開発の視点に好意と好感と信頼を持っていただくことです

iPhone iPad アップルのデザインは まさにユーザーエクスペリエンスを目指したものです 端正な外観 気品ある質感 なめらかな使い心地 これらは別にお客様の声に耳を傾けたり ニーズを汲み取った製品開発ではありません
さらにリンゴのマーク ガラス張りのアップルストア なによりも the legends of Steve Jobs すべてがマーケティングデザインとなっています
スティーブ・ジョブズの高い志が生み出し 所有することがユーザーの意識の高さを示す そしてユーザーは自らのエクスペリエンスを伝道します

近江商人の三方よし〜売り手よし・買い手よし・世間よし〜の精神に通ずるかもしれません 商の本道に立ち返るといってもよいでしょう[01] … Continue reading 誠を貫くのがインターネットマーケティングのあるべき姿なのです

註釈

註釈
01 さる実業家が松下幸之助氏に儲けるコツは何かと聞いたそうです 答えは「ザルで水を掬うようなもの」でした その人は千里の道も一歩からと受け取ったようです 儲けは後からついてくる ザルから溢れる水は買い手や世間に還元されるのです とくに世間が大事です 松下氏が晩年私財を投げ打って PHP研究所や松下政経塾を作ったのは そんな志からです
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家電 魔法瓶 郵便局 国鉄

最近の魔法瓶は保温力がない気がする ステンレスポットもそうだが 昔ながらの真空ガラスのもだ
理由は分かっている 中栓がないからだ 押すだけワンタッチとかエアーポンプとか 訳の分からん機能を付けるから 頭でっかちでスカスカの栓になってしまう それに口が広すぎる 洗いやすくするためだとかいってるが
わずかな手間を省くために 本来の目的である保温性を犠牲にしている プロダクトデザインとしても美しくない

反論の声が聞こえてきます 「保温性を追求しても売れないんですよ 消費者は便利さを求めています」 そう 一般受けしないというか数が出ないでしょう すると価格も高めになってしまうし
口が小さめで ちゃんと断熱材が入った中栓がある魔法瓶を探して見たが やはり業務用の一部製品しかない

日本の家電製品とくにTVが駄目になったのは 安売り店が価格を主導するようになったことに加え エコポイントとやらを使った地上波デジタルへの強引な移行が原因だ 韓国のせいにするのは目くらまし(本質を見たくない)だと思う
さらに首都圏では 東京タワーからスカイツリーへの切り替えで アンテナの向きを変える等余計な手間をかけさせている
無理やりな需要喚起がデフレーションを招いたんじゃなかろうか 経済学者じゃないから分からんが
(9月19日追記 日本の国債の格付けが韓国を下回りました 役人の身勝手が国を滅ぼす前兆でしょう)

パナソニック シャープ ソニー いまだ技術信仰にすがりついているようだ 自分たちが何を作っているのか見えなくなってしまっている
シャープが低迷したのは 技術畑出身の社長がマーケティングを無視したからだろう かつてシャープザウルスという先駆的なPDAがあった 単なるガジェットで終わってしまったのも マーケティングを考えないで製品作りをしたから
かなり前シャープのBDレコーダーを買ったが くだらんおせっかい機能満載で実に使いづらい 簡単予約が普通に予約するより手間がかかったりする 体質はまったく変わってないようだ
なぜシャープかというと 唯一アナログのピン端子(RCAジャック)が付いていたからだ もちろん私はブラウン管TVを使っている

郵便局の店名が番号になった 以前から金融機関の店番号というものはあったが そうではなく漢数字が店名になったのだ つまり〇一二ならば店名はカタカナで「ゼロイチニ」だ 従来の「○○郵便局」では受け付けてくれない そしてATMの操作画面にその説明はいっさいない ATMの前で戸惑っている人を何人も見た
郵政民営化っていったい何だったんだろう 体質ぜんぜん変わってない気がします

国鉄の多機能自動発券機 めちゃくちゃ使いにくい 操作を間違えさせるように作ってあるんだろうか お客様の使い勝手なんかまるで考えてない
おかげで現場は大変だ 客からクレームが殺到するから 一台ずつ係員を張り付けなければならない 客も迷惑 従業員もよけいな手間がかかる 国鉄の体質丸出しだが 改める気なんかまるでないようだ

どっちも理由は分かっている 業者に丸投げしてシステムを作ったからだ 業者はシステムを構築すればいいのだから 自分たちの作業性が第一だ
彼らにとって客は 発注者の郵便局や国鉄であって利用者じゃないのだ 別にわざと使いにくくしたわけじゃなかろう
たぶん運用も業者に丸投げだろうから 利用者や現場職員の声はどこにも届かない 問題点がフィードバックされる可能性はゼロだ

「ユーザーエクスペリエンス」へ続く

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