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タグ: セブン・イレブン

デザインと売り方(セブンカフェ・温泉まんじゅう)

プロダクトデザインで最近(でもないか)話題を呼んだのが セブン・イレブンのコーヒーマシンです 客に操作させるのですが めちゃくちゃ使いにくくて ユーザーインターフェースのことをまるで考えないデザインとして大不評でした
この仕掛けは淹れたてコーヒー・揚げたてドーナツの演出ですから 利便性はそれほど重要な項目でない これだけ話題になったのだから成功したといってよいのか 予想外の反応だったかはわかりません 売れているんだから失敗とは考えていないでしょう

佐藤可士和氏のデザインに対して批判が多いようですが あの人は確かグラフィック・デザインだったと思います 同じデザインといっても アパレル・デザイン インダストリアル・デザイン グラフィック・デザインは全然分野が違います
グラフィックの人にプロダクトデザインを依頼したのはなぜですかね たぶん有名デザイナーという話題づくりを狙ってのことだと思います 著名デザイナーとかデザイナーが名前で商売するのはアパレルあたりから来たことです その昔ピエール・カルダンがデザインした飛行機なんてのもありました

セブン・イレブンがフランチャイジーに無償で あのコーヒーマシン(とドーナツのケース)を配るとは思えません たぶん仕入れさせるかリースで売りつけています(間違ってたらごめんなさい)
自動販売機でも缶入りコーヒーよりカップ式のほうが利益率ははるかに高い ただこれは1台がひとつの喫茶店という扱いになり メンテナンスの人手が必要です(それと手洗い設備も必須) セブンカフェの場合この人件費はもちろん加盟店が負担する 「おでん」がうまくいったので味をしめたか
フランチャイザーはフランチャイジーに売ればよいので コンシューマーは直接の客じゃありません 使い勝手の悪いマシンを押し付けられた加盟店は やむなくテプラを貼りまくったというのが経緯なんじゃないでしょうか

同じドーナツやパンでも個別包装せず 籐のバスケットなんかに籠盛りして並べ 客にトレイに入れさせれば高く売れます こういった売り方の始まりは温泉まんじゅうだと思います 焼きたて・揚げたて・蒸したての演出です
包装しなければ添加物を表示する義務もないし 手書きPOPでも添えれば手作り風を装いやすい この頃はこういうのをマーケティングデザインとかいってるみたいです あえて利便性を無視し余分な手間をかけさせることが付加価値となる

セブン・イレブンに限らず多くの大企業にとって客は数字に過ぎません 客数・売上高はいちばん分かりやすく管理しやすい 全国で多店舗展開するにはコアな層を狙うんでなく ボリュームゾーンに売るのが常識でして 個人の顧客満足度なんて数値化できませんから考える必要ないのです そこは販売現場の努力なり加盟店の工夫で補ってもらう
インストアベーカリーならまだしも セブン・イレブンの場合どう考えても配送時にはパッケージングしているはずです あのドーナツは売るときにわざわざパッケージから出しているのでしょう(おでんもそうです)

2017年2月3日 追記=セブン・イレブンのフランチャイジーがアルバイトにノルマを課していると騒がれています とくに日配品は返品できず全量買取になります
売れ残りを従業員に売るのは 他のフランチャイズチェーンでも当たり前に行われているし その際は通常価格です それでも残るのは廃棄されます(経費は加盟店負担) クリスマスケーキやバレンタインチョコレートみたいに 翌日半額で売ることはできない
問題があるのは一方的な押し付け販売のフランチャイザーです フランチャイジーのみを責めるのは酷だと思いますが)
2021年1月21日 追記=セブン・イレブンの「練乳いちごミルク タピオカ入り」がまた話題をさらっています 透明なカップに入った商品なのですが完全に透明ではなく イチゴを模した赤い模様が描かれているのです ご丁寧に底の方はイチゴが下だまりしているようになっています 手に取って見れば分かるといっても これは明らかに誇張した表示を狙っています
以前にも「厚焼き卵サンド」の底上げ問題がありました 三角の切り目にだけ厚焼き卵を細長く切って入れ 中はスカスカという代物です 全ての商品がそんな状態ではないので 下請けの製造工場の仕業でしょう 多分極端な低価格の仕入れで製造させている為だと思います 詐欺まがい商品の巣窟ですね)

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Amazonの正体2(ビッグデータ)

Amazonといえばビッグデータ ビッグデータって何だろう

・サンプリング調査よりも多数の生データを使った方が精度が高いだろう
・自社でこれまでに集めたデータを使えれば費用も少なくてすむかもしれない
・セブン・イレブンが客の性別・年齢や地区別のデータを集めて 商品の仕入れ配布の効率化に生かしていたらしい
・トヨタのカンバン方式みたいなものだろうか 客の動向から生産数を決めるみたいな

データがそれだけで価値を生み出すことはありません Amazonは最初からインターネットを介して すべてのデータを一元的に管理していますから 膨大な自社データの蓄積があります それはすべてインターナルなデータです ハウスリストだから価値があります ビッグデータといってもデータ量に価値があるのではない

Amazonにとって必要なのは購買履歴と興味の対象だけ 個人の属性(いわゆる個人情報)ではないのです しかもインターネットなら購買に至る前の行動も把握できるし 同一パターンの行動を参照することもできる
「この商品を見た人はこんな商品も買っています」というやつです ウィンドウショッピング大歓迎です ランディングページで購買に結びつかなくてもいい

ビッグデータ運用とは むしろミニマルな個人の動向(昔ながらのデモグラフィック属性ではない)を重視することではないでしょうか 小さな揺らぎが世界に影響を及ぼすように ディテールなき全体像はあり得ません 真実は細部に宿るのです
むろん人力で把握するのは無理 不可能なことですから すべてアルゴリズムで制御されます アルゴリズムの厳密な定義は知りませんが 多数の同一パターン繰り返しを人間の手を介さず自動化することで 最適解を求める方法論でだいたい合ってると思います(ピタゴラスイッチ面白いです)

一言でいえば データ解析の結果に人間(とくに経営層)の判断を差し挟まないということでしょう 数字を読むというレベルの話じゃないのです 数値化してはいけません
数値化=科学的(信用できるし分かりやすい)数多くのデータがあれば経営判断も正確にできるかもしれない はっきり言って迷信です 数字が大きくなれば精度が上がるなんて単純なことではない どれだけ沢山の数字を並べても 人間の判断が入った時点で恣意的になってしまいます

売れ筋商品を見極めるとか 客筋を見て商品の棚を考えるのでもない 客をマスで捉えている(数字や売り上げとして見ている)かぎり ビッグデータを理解することはできません ビッグデータのビッグは数値ではなく価値の大きさだと思います 個人の(意識すらしない)購買行動の積み重ねが レコメンドエンジンに反映されます

ベネッセから流出したとされる個人情報は まさに個人の属性そのものです 一見ハウスリストのようですが全く違います 元をただせば本人の了解なしに(何しろ未就学児童です)不適切な手段で入手したものです 福武書店のころは今のように煩くなかったので 不正という認識でなかったのかもしれません 今でも我が子の寝姿を(本人の了解なく)写真に撮ってネット上にさらす親がいますから あまり意識は変わっていません

こうやって集められた1億件を超えるといわれる個人情報は 汎用性がありますから札束に見えるのでしょう そんなリストを使った頼みもしないダイレクトメールや電話営業などは ことごとく詐欺まがい商法といって差支えないものです
Amazonのビッグデータ(ハウスリスト)は Amazonにとってだけ価値があり汎用性はまったくありません 顧客のロイヤリティはそういうところから生まれます

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