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卵かけご飯

卵かけご飯 いろいろなやり方があると思います 私にとっては「炊き立てのご飯」が絶対不可欠です 炊き立てでなければ 成立しないのが卵かけご飯です(あくまで個人の感想)
卵が重要なのでなく ご飯をおいしく食べるためと思っているからです もちろん卵の品質・鮮度は大切ですが 冷や飯に生卵では卵かけご飯とは言えないのでは(炊きたてでなくとも 電子レンジで使える陶器のお櫃で蒸し直してもいい 熱熱が肝心)

まず器に卵を割りいれ 箸でよくかき混ぜます 白身と黄身が別れているようでは かき混ぜ方が足りません 次はご飯茶碗に炊き立ての飯を山盛り装い ちょっと行儀が悪いのですが 中央に箸で穴を開けます そこへ溶いた卵を注ぎ入れる そして穴の内側からご飯をつき崩すように 卵と混ぜていきます
すると熱いご飯で卵が半熟状になります この半熟が大切なのです そのための炊き立てです 卵の溶き方が不足すると黄身だけが固まり うまく半熟状態になりません ご飯に対して卵の量が多すぎてもいけません

最後に生醤油を掛け回し 今度は混ぜないで頂きます 他の材料は加えない ご飯・卵・生醤油のみです 醤油は絶対に生醤油でなければなりません 人工ダシを入れた加減醤油ではだめです 余計なダシ味は邪魔なだけです
先にご飯に醤油をかけるという人もいるようですが それでは簡易茶めしになるんじゃないか ご飯に味付けをしてはいけないと思います 生醤油は味付けとともに 卵独特の匂いを和らげる意味があります[01]もし新鮮な初卵(若鶏が初めて産んだ卵)が手に入ったら ぜひ塩少々だけで食べてみてください 醤油すら不要の卵本来の香味を味わえます

加熱の仕方が重要 生は鮮度ではない

ワサビ茶漬けもうまいですね ワサビはすり下ろすのではなく 細い繊切りにします こうするとツンとくる辛味よりも爽やかな旨味を味わえます
ご飯の量は茶碗の三分の一以下です 多いと汁かけ飯になってしまい お茶漬けサラサラといかない といっても ご飯を水洗いして粘りを取る なんて手間は不要です
そしてこれが一番大切なのですが 必ず熱い煎茶をかけます 料理屋でやるような吸い地を張ってはいけません これでは茶漬けといえない ダシ味でワサビの仄かな風味が飛んでしまいます[02] … Continue reading
刻み海苔をパラパラと散らすのはいいでしょう それ以外は合わないと思います 最後に生醤油を数滴垂らして かき込みます ワサビの風味とご飯の滋味が味わえます

卵かけご飯 ワサビ茶漬けとも 極限まで限定された材料に 瞬間的に熱を加えることで雅趣を引き出します 熱を加える事が大切なのです 生では味わえない旨さがあります またダシ味も不要です 素材の邪魔をしてしまいます
冷たい料理もありますが いったん調理したものを冷やすのです 最初から熱を加えないでは 料理といえない 刺身は例外です これは包丁の冴えをいただく 包丁の入れどころを僅かに間違えると 筋が残ります[03] … Continue reading

ワサビ茶漬けの食べ方はお寿司やさんに聞きました 生の魚をスライスして寿司飯の上に乗っけても 寿司にはなりません 寿司は握る前の仕事に結構火を使うことが多い でなければ酢で締めしたり漬けにします
刺身にしても江戸時代では 湯引きするのが当たり前でした 土佐造りは火で直接炙りますね 伊勢の片焼きというのもあったそうです(今でいう炙りです 切り身の煮魚に熱くしたコテで焼き目をつけていました) 伊勢うどんと同じく省力化のためです どちらも簡便なものですが なかなか美味かったらしい

もう一つ好物が こんがりと焼いたトーストに マーガリンを塗り 薄い紅茶でいただくことです バターでは風味が勝ちすぎて旨くない しかし残念なことに 塩っぱいマーガリンがなくなってしまいました[04] … Continue reading リス印は1972年で家庭用マーガリンの製造をやめています 雪印ネオソフトの発売が1968年ですから その影響かと思われます
新潟県にサンドパンというものがありました マーガリンにグラニュー糖?を加えたものを 2つ割のコッペパンに挟んだ菓子パンの一種です マーガリンの塩っけと砂糖のジャリジャリが相まって旨い[05] … Continue reading サンドパンは今でも売っています でもフワフワ・トロトロのホイップクリームみたいになってしまいました 昔食べた食感とまるで違います

註釈

註釈
01 もし新鮮な初卵(若鶏が初めて産んだ卵)が手に入ったら ぜひ塩少々だけで食べてみてください 醤油すら不要の卵本来の香味を味わえます
02 茶漬けは自分で あるいは伴侶が作るもの 料理屋で頼むものではないと私は思います もともと料理とも言えないわけですから だから名古屋の「ひつまぶし」の良さが分からない もちろん鰻屋さんで食べたことはあります 面倒な手間を掛けているだけという印象でした
03 池波正太郎先生が “家で鯛の刺身をやるときは、生醤油ヘ良い酒を少し落とし、濃くいれた熱い煎茶へ塩を摘みいれたのを吸い物がわりにして御飯を食べる” と書いておられました これは真似してみたいですね
また 店では吸い物で銚子を2本 鯛の刺身でご飯を戴いたようです 私は刺身を醤油に漬けて熱い御飯の上に載せ これを酒菜に冷たい大吟醸酒を呑みます 池波先生のように吸い物で燗酒を呑むのができない
04 食パンも もちもち・ふわふわパンばかりになってしまったので サクッと歯切れのよい口どけのよい こんがりトーストは望むべくもありません
パン類も洋菓子も膨らませるので 利益率はもともと高いものです その上に近頃は更にふわふわ食感がもてはやされる フワフワもトロトロも材料費がかからず 大変ありがたい風潮ということになります
05 カステラも持ち重りのするしっとりとした食感が好きです そして底にはザラメが敷いてあって ジャリジャリしないといけません(鈴カステラはその限りではない)
甘くフワフワな生食パンなる奇妙なものが売れています コッペパンは食パン用の生地を使います この生食パンとやらは逆に菓子パンの生地で食パンを焼いたもののようです

カテゴリー: マーケティング戦略論