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カテゴリー: 情報戦・心理戦一般

憲法修正条項

アメリカと日本の憲法

アメリカの憲法は硬性憲法です しかし時代情勢に合わなくなった部分は 修正条項で対応しています 修正条項は上院・下院それぞれ3分の2の賛成に加え 4分の3以上の州から批准されることが必要です
日本国憲法もアメリカ人が作ったものですから これを踏襲した硬性憲法です 日本には州がないので 改訂の規定を衆参両院の承認と国民投票に置き換えています

合理性のある必要な修正には州の批准が得られます アメリカ憲法の修正条項は 厳格な規定にも関わらず27件に及びます
6月23日追記=話題に上ることが多い 武器保有の権利については 国務省出版物の解説がわかりやすい 独立戦争に由来したことなのですね)
日本国憲法は 修正条項の規定がありません そのうえ神聖にして犯すべからずと 聖典化されてしまいました 国民投票となると一字一句の改訂も難しいでしょう

アメリカは独立した州の連邦国です 各州はそれぞれ独自の憲法と法律体系を持っていました 連邦会議によって アメリカ全体(連邦)のあり方を規定するための憲法が制定されたのです アメリカ合衆国憲法あってこそ連邦国が成り立ちます
その憲法は7章しかない包括的で簡素なものでした 不備を補うために修正条項の規定を設けています また修正に各州の批准が必要なのも連邦国家なればです
13州の合意で制定された連邦を規定する憲法です 連邦政府は立法府・行政府・司法府で成り立ちます 連邦〇〇という名称の機関は連邦政府の組織です[01] … Continue reading

共和制でもない連邦国でもない 日本とアメリカは国体が全く違うわけです したがって憲法の役割も異なります それなのにアメリカ流を持ってきたため矛盾が生じています
特に修正条項がないのは 決定的な欠陥といえます 日本国憲法は103条ありますが 一字一句の改訂でも国民投票にかけなければなりません

日本国憲法は 帝国憲法の条項に則った改定だというのが公式見解で 国民投票によって成立したわけではない そもそもの成立経緯が欺騙です
国民が気が付いたら いつの間にかすり替えられていたというのが実態です 国民投票で制定されてもいない憲法の改廃に なぜ国民投票が必要なのですか

合衆国憲法は連邦政府を規定するためにあります それは各州の自治を保証する意味合いでもあります 各州の合意を国民の総意と言い換えるのは無理でしょう
アメリカの憲法研究家が言ってましたが 憲法の改定と新憲法制定は改定条項が同じか違うかで判断するそうです それに照らし合わせれば 内容の異なる日本国憲法を帝国憲法の改定というのは まやかしであり屁理屈です

日本国憲法制定後の情勢

吉田茂以来の政権は時代にそぐわない内容を 憲法条文の解釈にすり替えてごまかし続けました 最も重要で最大の矛盾は自衛隊でしょう 翻訳文の解釈ですから英語原文の理念と大きく異なります
日本国憲法が制定されて3年後に始まった 朝鮮内乱(朝鮮戦争)により極東アジアの情勢は一変しました ソ連が再び満州・朝鮮への侵略を開始したのです 戦力を放棄し交戦権を否定した憲法下の日本は 周辺国から侵略の危機にさらされます

ソ連・中共の謀略(血のメーデー事件に代表されるテロル攻撃が頻発しました)に対応する治安部隊として警察予備隊が誕生しました ソ連・中共・朝鮮の軍備拡大・侵略が常態化し 保安隊・自衛隊と改編されるに伴い 有形戦闘力は肥大し続けています
そして治安部隊のはずだった警察予備隊は自衛隊となり 日本国憲法が否定している戦力に相当するまでになりました もはや明確な憲法違反(原文に対する)の存在です

災害があるたびごとに自衛隊の評価は高まります 違憲の存在でありながら都合のよい時には重宝な存在として使われる 近年は国連の軍事行動にまで駆り出されています 戦力を保持しない建前だから いつも軽装備で交戦権を持たないままに
外交・軍備・国策そして経済も すべて不可分・一体のものです サンフランシスコ講和条約が結ばれた時には朝鮮戦争が始まっていました いまさら言っても詮無いことですが occupied japann 時に制定された占領時暫定憲法を廃止し 名目上とはいえ独立国として国軍を再建していたら このような矛盾は生じなかったでしょう[02] … Continue reading

日本の周辺国は常に日本の領土・領海を窺っています 日本が島国で明確な国境線がないのをよいことに 領海・領空を威力偵察あるいは侵犯し 漁場や各種資源を略奪しているのです
北方領土・竹島は侵略されました 尖閣諸島も脅かされています しかし 日本国憲法が交戦権を放棄していますから 国軍に相当する軍備を持っていても 自衛隊はこれを抑止することができません
6月23日追記=ロシアの軍艦が尖閣諸島の間を通過しました これ自体は国際法上 問題のない無害通航です 中国の軍艦がロシア艦を追尾するかのような行動をとったのは 自国領海付近の警備行動であると国際社会にアピールするためです)

日本国憲法をアメリカの押し付け憲法といいます(最初は社会党が言い出したことです) 日本の主権が制限された占領下での制定は押し付けだという議論です 成立の経緯より 憲法の理念がアメリカの価値観であることが 押し付けの本質です
日本の伝統・歴史に立脚していない 周辺国との関係を無視している なによりも英語の原文があること 翻訳憲法であることが押し付け憲法を象徴しています

日本国憲法の原文を機械翻訳させてみると 本来の主旨が浮かび上がってきます 憲法は国内法ですから日本文であろうが英文であろうが 国連を含む他国にとっては何の関係もないことに変わりないのですが
アメリカ国民にしても 日本国憲法のそんな事情はあずかり知らぬことです 安保タダノリ論が出てくるのを見れば分かります トランプの発言は正鵠を射ています 大統領になれば実行するのではないですか

註釈

註釈
01 アメリカは独立した州の連邦国なので 内政は州政府・州議会の役割です 連邦政府は外交と軍事を担当します そのため連邦政府・連邦議会は日本の半分ほどの規模になります 大きな権限と強大な軍隊を持ちますが 連邦政府・議会自体は案外コンパクトです だから世界情勢に対して即応できるのです
02 サンフランシスコ講和条約を結んだ吉田茂は しょせん役人上がりです 国家百年の大計を持っていたわけじゃありません その場を凌ぎ問題を先送りすればそれでよい イギリスで知り合った怪しげな放蕩者を 英語が得意というだけで私的なブレーンとして連れて行ったくらいな いい加減なことをやっています
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鉄砲の戦国から江戸時代

根来衆はもと僧兵だったといいます 得意とする鉄砲は切支丹から供給されたと思われます 僧兵が切支丹伴天連と関わりあるはずないと考えがちですが 僧兵は武装した僧ではなく 僧形の兵(野臥せり)です ヨーロッパの騎士団[01] … Continue readingと比べれば とくに信仰心が篤かったわけではないでしょう

戦国時代で鉄砲と結びつくのは何といっても織田信長です 信長といえば切支丹との関係が強いイメージがあります 戦術面でも根来衆との協力関係は考えられます
とくに一向一揆対策のため切支丹と結びつきました 高野山の僧兵は僧形をしていただけですが 一向一揆は信仰心からの団結ですから手こずりました 雑賀衆と一向一揆に直接の関係はないと思います

織田信長の配下は連合軍です 野伏[02] … Continue readingなどの混成部隊で弓矢と槍の連携に難があったかもしれません 鉄砲は弓矢に比べて習熟が容易だったのかどうか分かりません
鉄砲は重いし反動があり 何より連射ができないので 野戦では使いにくいと思います 長篠(設楽原)の戦いでも馬防柵の内側で待ち伏せする運用です

上杉謙信に切支丹との接点は見当たりません あれほどの合戦上手なのに鉄砲はほとんど使わなかったようです 戦国時代の合戦は 弓矢で制圧射撃した後 槍で突き崩して勝敗が決します
上杉謙信の軍勢は本を正せば新田越後守の精兵ですから 弓槍の術に長けていました とくに謙信の戦い方は戦場機動を重視します あえて鉄砲を使う利点はなかったのではないか 鉄砲は防御に向いた兵器です

信長の軍勢(柴田勝家)が上杉軍と戦ったことが一度だけあります 手取川の合戦です 会戦ではなく遭遇戦だったのですが まるで相手にならなかったようです
信長公記にこの大敗は記されていません 負け戦は書きたくないでしょうね どういうわけか この時羽柴秀吉は途中で引き返し参戦していません 猪武者の柴田勝家と違って勝ち目のない戦を避けたのかも

謙信軍の春日槍は3間の長さでした 槍は長いほうが有利です しかし今度は取り回しが難しくなります 織田軍(柴田兵)の足軽は鉄砲を装備していたかもしれない そうすると弓矢ではなく槍の代わりということになります 火縄銃の射程距離は槍の十倍はありますが 遭遇戦や白兵戦では役に立ちそうもないですね

豊臣秀吉は軍勢の練度ではなく物量で圧倒する戦い方です これも信長に倣った戦略でしょう 出自が弓矢の家ではありませんから遮二無二突き進むことはなく 彼我の戦力を冷静に判断したものと思われます 強襲はどちらも被害が大きいですから[03] … Continue reading

長篠の戦いのあと戦術が変わったなんて事実はありません 戦いの様相が変わるのは25年後の関ヶ原の戦い以降ではないでしょうか
太閤検地・刀狩りによって武士と農民が区分けされたため 戦国以来の弓矢の家は凋落し 軍の編成が変わりました もはや弓矢と槍は主力兵器ではなくなったのです

大坂冬の陣では5000の真田軍が数万の徳川方を撃退したと伝わります 攻守3倍といいますから奇跡的というほどではありません 長篠城の攻防もそんなものでした 真田丸には狭間筒という銃が装備されていました 長銃身で有効射程が飛躍的に長く 防御側に有利です 後の時代の重機関銃に相当するものでしょう

冬の陣の和睦で大坂城の外堀が埋め立てられました 本丸が大筒の射程距離内になり直撃できる状態でした 夏の陣は徳川方の騙し討みたいなものです
この攻城戦で初めて大筒が使われたと言ってよいかと思います 城そのものを破壊する攻撃です 大坂城が緊要地形に建てられた城塞でなく 居住用であり権威の象徴であったための戦術でしょう

徳川の世になってからの大きな戦いである島原の乱の時は 追放された宣教師が九州に残置した切支丹信徒に鉄砲を渡して蜂起させました やはり原城に篭っての籠城戦です
なお 入り鉄砲に出女が言われ始めたのは 大坂の役および参覲交代の制が直接のきっかけであろうと推測します

註釈

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01 騎士団は十字軍のとき出来ました 別にナイトの軍団ではなく 自らを騎士になぞらえた民衆を ローマ教皇が公認したものです 貴族制のことはよく分からないのですが ナイトは爵位のうちに入らず 勲功のあった者が叙任され一代限りだったと思います 遍歴の騎士は物語の中だけです
02 野武士・野伏は戦国時代 特定の勢力に与せず領地を失った小集団の豪族です(蜂須賀小六など) 足軽として傭兵になったり 請負でゲリラ的な活動をしていました 山伏や乱波・素破も同様の存在です 戦国時代のあとは山賊・盗賊の類となった者達も多いでしょう(石川五右衛門など)
03 よく言われる車懸りとか鶴翼の陣とかは 中国人が例によって無理やり体系化したものです 全員騎乗して平原ならできなくもないが 地形を無視した布陣はありえない 無駄な機動はしません 戦場の心得の第一はできるだけ体力を温存することです 妻女山を夜迂回したり鞭声粛粛〜♪夜川を渡る おそらく各個撃破や分進合撃のことを言ってるんじゃないですか
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脅威からの防衛

アメリカの州兵は 米国土と米国民を脅威から防衛するのが任務です 脅威は暴動や外国勢力の武力攻撃とは限りません 自然災害も含まれます 山火事・洪水で州兵が出動するのはよく聞くことです

平成27年9月の鬼怒川氾濫で 救助に当たった自衛隊の人が「これは実戦」といっていた言葉が印象的です ヘリボーン作戦の訓練を積んだからこその水際だった成果です

国軍でない自衛隊はおそらく アメリカの州兵がモデルとなったのでしょう(警察官が地方公務員と国家公務員の2重組織なのも シェリフと郡警察がモデルかもしれません) 交戦権を認めず統帥権規定のない現行憲法のもと 日米軍事同盟は対等ではありません 有事の際自衛隊は州兵と同様の扱いで アメリカ連邦軍指揮下に入ることになりそうです

他の国でも軍の仕事は戦争することではありません いつ来るかわからない脅威に備え 訓練することこそが仕事なのです ですから多くの軍人は 戦闘することなく退役していきます 軍備も一度も使われることなく更新されます[01] … Continue reading
有事に備えること 百年兵を養うとはそういうことです 警察・消防もむろん災害救助の機能を持ちます しかし大規模災害に対応できるほどの機動力はありません 武力攻撃の場合には全く無力です

おなじ非常時で人死にが出る 武力攻撃と自然災害を区別する必要性などありません それぞれの危機別に装備を変えるとか 自衛隊を武装解除して災害救助隊に特化するなんて 無意味な現実をみない発想です 日本を敵視している勢力に利するだけです
対抗勢力甲・乙・丙のうち 甲と乙は国連常任理事国であり 丙は最初甲の隷下のち乙の属国に戻りました 国連の敵国条項はいまだ有効です 日本が国連の軍事行動に同調したり人員を派遣することが いかに矛盾に満ちた行いかが分かります

日本国憲法、国の主権

日本国憲法が発布されるとき 社会党は占領軍の押しつけ憲法反対と唱えていました いつの間にか平和憲法などと言い換えたのも すべて中共の意向によるものです
人民解放軍は陸軍主体で そのころの海軍力は取るに足らず 脅威ともいえないものでした しかし社会党等の利敵工作に助けられて軍備を増強し形勢は逆転 今や東シナ海・南シナ海とも中国が制海権を握るに至りました
ここにくるまで中国は70年の時をかけたわけです 百年兵を養うとはこういうことをいいます 別に孫氏の兵法ではない どこの国でも当たり前にやっています

徴兵制度の国は少なくなる趨勢にあります 一般に志願兵のほうが士気が高く したがって練度も高くなることが理由です 現代の常備軍は高度に専門化された職業軍人の技能集団です
アメリカがベトナム戦争で負けた原因は 初期の兵力逐次投入に加え 徴兵制による練度不足の兵が我の犠牲を招いたからです
近代の徴兵制はフランス革命(市民革命)後に制度化されました 当時の戦いは兵の数で勝敗が決することが多かったのです(人海戦術の始まり?) 徴兵による軍隊は国民軍・市民軍であり国民主権に深く関わっています

国の主権には独立・統治・参政といった概念があります 中でも国際関係における独立国としての権利が根幹です 独立とは他国から干渉を受けないことをいいます
英語のsovereigntyは統治者と独立国を意味します すなわち外交と国防は国の主権者の重要な責務となります 国を統治する者は国益を護らなければいけません

王様が統治する場合 国防は国王の役割です 名目上ですがイギリス軍は女王陛下の軍隊です 伝統的にイギリス王室は軍務に就き 有事には臣下たる貴族が参戦します ノブレス・オブリージュですね 貴族とは要すれば出兵の義務を負う軍事組織です
王政でない主権在民では 国防を担うのは国民というのが徴兵制・国民皆兵の主旨です そのため多くの場合 参政権と兵役の義務は一体のものです 国民主権であるならば 国民自らが国の独立を守る義務があります

アメリカ連邦軍は徴兵を停止していますが 18歳で選挙権を得ると同時に兵役の登録をします これを拒否すれば罰則がありますし 兵役の義務を果たさない者は職業選択に影響があります とくに連邦政府の仕事には原則として就けません[02] … Continue reading
国民皆兵制のスイスで長く女性の参政権が認められなかったのも 女性には兵役の義務がなかったからです 主権とは独立国という意味です 国の独立はどこかから与えられるのではない 自ら勝ち取るものです 主権という権利には国防という義務が伴うのです

日本国憲法前文の英語原文を 恣意的解釈でなく機械翻訳させてみると「日本国民は、恒久の平和を念願し、人間関係を支配する崇高な理想を深く自覚し、平和を愛する世界の人々の正義と信仰を信頼して、私たちの安全と生存を守る決意をしています。」となります 憲法9条においても「日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、国の主権的権利としての戦争と、国際紛争を解決する手段としての武力(原文=sovereignty power)による威嚇又は武力の行使とを永久に放棄する。」となり 国際関係における日本の主権(独立)を放棄しているのです[03] … Continue reading

武力行使は攻撃と防御で成り立つのです 戦争に侵略とか防衛の区別なんてありません 戦争を捨てるとは自衛もしないことを意味します 自らの手で自国のセキュリティと存在を守る すなわち交戦権は国の権利ですから 戦争(と外交?)を放棄するとなると主権も放棄しなければ辻褄が合いません
領土・領海はすぐれて主権の問題です ロシア・韓国に固有の領土・領海を占拠されながら何もしないのは 日本国憲法の精神に則ったことといえます

註釈

註釈
01 訓練も実戦もやることは変わりません 死傷者が出るか出ないかの違いくらいです 中世ヨーロッパの百年戦争は傭兵隊同士の戦いでしたから お互いに消耗しないよう暗黙の取り決めがありました 模擬戦争ですね これを無視したジャンヌ・ダルクは練度不足の市民兵を引き連れて攻撃を仕掛け 双方に多大な犠牲者が出たのです 毛沢東案出の人海戦術に似ています
02 当選したアメリカ大統領が 兵役の義務を果たしているかどうか論議されることが度々あります 大統領は連邦軍を統帥しますから当然のことです ケネディーは沿岸警備隊に所属していましたが トランプは兵役を免れています 州兵にも属してなかったんじゃないか
03 日本国憲法が占領憲法である本質は まさに憲法前文と9条条文にあります 安倍晋三が憲法改訂をもくろんでいますが もし条文を変えたり加筆した場合 オリジナルの英語版も変更するのでしょうか?
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