コンテンツへスキップ →

タグ: お客様

カスタマー・レビュー

随分と以前の事になります アマゾンが一般会員の無料配送を取りやめました 2000円以下の買い物はヨドバシカメラにするかもしれません ただし レコメンドエンジンとカスタマー・レビューの質の格差は相変わらず大きいですね
これからもこの差が縮まることはありません 知人もアマゾン以外のカスタマー・レビューを見ることはないと言いますし 他のところで買ってアマゾンにレビューを書く人もかなり多い そもそも配送料無料はビッグデータ蓄積のための先行投資です

お客様の声はとても大切ですが なかなか率直な意見は聞けないものです 想定するターゲットのグループインタビューで製品開発などは 無理だと思います
やはり製品そのものを介して お客様と交流するのが 物造りのあるべき姿です カスタマーレビューを活用する フランクに意見を聞かせてくださいと頼むのは よい方法です
インセンティブを使わなくても 誠意を感じれば お客様は書いてくれるし 正直な感想は読む人にも伝わります

作る側・売る側の思いと 使う側・買う側の価値観が一致して 初めてよい品物になるものです けれども その交流の場があまりなかった お互い一方通行になりがちだった
フェイスブックページは双方向のマーケティングに役立つと思います アマゾン・マーケットプレイスの活用方法は考えたことがなかった しかし相当良質なメディアになりそうです 実際の製品改良等に結びつけている所もあります

お客様とのコミュニケーションといっても ダイレクトメールは非常に難しくて 文面とタイミングで客の受け取り方が大きく異なります とくにDM屋さんに任せきりで無差別に送るなど 無駄どころかかえって反感を招きます
メールマガジンの名前で営業メールを出すなんてやり方は廃れましたが 当然のことです 電話営業に至っては もはや詐欺まがい商法以外に使っているところはありません

昭和50年代から 本物を求める客だけを対象に通販をしているところがあります(単一の商品です) 客とのコミュニケーションを大事にし 商品カタログでない季刊の小冊子を発行しています
流行りの言葉でいえば「オウンドメディア」ですか アマゾンと同じように インセンティブは使わずにお客様の好評価を集めています 顧客はコミュニケーションを求めています それは必ずしも人的交流とは限らないのです

電通PRさんの調査によるとコンテンツの充実に関して 企業の心がけていることの上位は ⒈動画コンテンツを掲載する ⒉開発秘話・背景などストーリー性のあるものを作る ⒊経営トップの姿をなるべく多く掲載する だそうです
対してオーディエンス側の見たい要素は ⒈開発秘話・背景などストーリー性のあるコンテンツ ⒉調査データなどの客観的な情報 ⒊製品サービスそのものでなく、体験や利用シーン となっています
見事に乖離していますね 特に経営トップ云々とか動画は社長の意向そのままなんでしょう アパホテルやジャパネットたかたに憧れてるのかもしれません(この調査は上場企業3664社が対象ですが)[01] … Continue reading

註釈

註釈
01 ジャパネットたかたは 息子に代が変わってから 社長がまったく露出しなくなりました 先代のイメージが強烈過ぎましたからね アパホテルも社長交代したみたいで ほとんど見かけませんね 普段からあの格好を通していたそうなんですが
代わりにやたらTVCMに出ているのが豊田章男です あれだけの大企業が社長の道楽に振り回されているのは 日本経済界の病弊を表しているのか 政府からも援助されている盤石の体制だから安泰なのでしょう
コメントは受け付けていません

やってみなはれ

「やってみなはれ」寿屋(サントリー)創業者鳥井信治郎さんの言葉です 自分ではやらないわけですが そのための資金とやってみた結果には社長が責任を持ちます 青色LEDの製法を発明した中村修二さんが勤めていた時期の 日亜化学工業の初代社長もそういう人だったのでしょう

それに引き換え二代目は見苦しいですね 何のためにあんな薄汚い個人攻撃をするのでしょう 追い出した中村さんがノーベル賞とったんで 悔し紛れの捨て台詞? こんなことだから日本の技術は全部中国に持っていかれるのです

Googleの企業理念に「Be bold and experiment … and learn from it」というのがあります 試してみなければ結果はわからない 失敗を恐れていては何もできない

マイクロソフトのオフィス(ソフトウェアでなくフィジカルな方)は各人に個室が与えられていて 余計なものに惑わされない 大変に統制が取れた社風のようです
グーグルは机と椅子はあるのですが オフィスに仕切りはなく どこでどんなスタイルで仕事をするか各自の自由です 広大な敷地内で寝泊まりする人までいます
フェイスブックのオフィスも オープンスペースに各自のデスクがあります そのほかに大小の部屋が数多くあって 支給されるノートパソコンを持って自由に部屋を使えます

Googleのホームページはこれ以上ないほどシンプルです 創業者の一人であるラリー・ページによると「自分はあまりhtmlに詳しくないので」だそうです ジョークのようでグーグルの理念そのものとも言えます
取って付けたような後理屈のユーザーエクスペリエンスとか 変にこねくり回したユニバーサルデザインなんかじゃない 直感的に使えるどころか余計な操作をする余地さえない 間違うことができないデザインです

iPad・iPhoneに取説がないのも同じことです 日本流のお客様指向でいえば こんな不親切なものはありません マニュアル無し 自分で考えて使うというのですから ユーザーに対しても「やってみなはれ」です
でも自由に使ってちゃんと応えてくれるし壊れることはない 外見はシンプルであって迷うことはなく それでいてバックグラウンドは作りこんでいます

これに反したものが トヨタ・プリウスのシフトレバーです 見た目の形・デザイン先行で実に分かりにくい マニュアル車ともオートマチックとも違います 両方を取り交ぜたような感じです
シフトレバーといっても実体はセレクター・スイッチです なのにシフトレバーの形にする発想が そもそも間違っていると思います しかも その時のシフトの状態にかかわらず レバーの位置が常に一定という 実に中途半端なものです[01]トヨタの豊田章男社長は自分でレースをやります おそらくレース車両はマニュアルのシフトレバーだと思います 社長の意向なんじゃないかな

UIのことをまるで考えていない もともとプリウスは従来の車とは違うものですから 操作性が変わるのは当然です ならばそのような操作系にしたほうがむしろ理解しやすい
実際あまりに使い勝手が悪いので スイッチ操作にした後付けの交換部品が サードパーティ各社から出ているようです

それにしてもプリウスのリコール多いな 他に先駆ける形でいち早く市場に出してシェアを奪い(役人が絡んで補助金まで出していました) 具合が悪かったらそのたびに手直しするということですか 一般ドライバーがテストすることになる この「やってみなはれ」は大変危険です

2021年7月7日追記=目先の利益だけを求めた結果 日本では電気自動車(EV)の開発は等閑にされました テスラの成功により世界の潮流は大きく変わったのですが 長期の展望を描くことなく見過ごしました 日本の自動車産業は取り残されることになるでしょう すでに佐川急便が中国製電気自動車を採用するなんて言い始めたようです)

註釈

註釈
01 トヨタの豊田章男社長は自分でレースをやります おそらくレース車両はマニュアルのシフトレバーだと思います 社長の意向なんじゃないかな
コメントは受け付けていません

ユーザーエクスペリエンス

昔は郵便小包を出したら箱や中身が壊されるのを覚悟しなければなりませんでした かつて物流は国鉄の貨物便が主でしたから 郵便小包も貨物列車で運ばれました
郵便局から国鉄の手を経て小包が運ばれるのですが 全逓と国労の荷物の扱いはそれはひどいものでした 手で持って運ぶことをしません 抛り投げるのです その様子を何度も目撃しました

郵便小為替の抜き取りもけっこう頻繁にあったし 郵便小包の配達を時間指定して その通りに届いたことはありません 自分に都合の良い時間で配達し平気で不在票を入れます しかも再配達ではなく 印鑑を持って本局まで取りに来いと書いてあります

「ユーザーエクスペリエンス」とかいう よく分からない言葉があります UXと略称され 直訳すれば「利用者の体験」です 郵便小包では日本国民全員が大変な利用者の体験をしてきたわけです
旧国鉄と旧郵政省だけではありません 日本の家電メーカーにとってのお客様は 利用者(ユーザー)ではなく問屋や小売店でした(ナショナル店会・東芝リンクストア・日立チェーンストールなど) 当然「ユーザーエクスペリエンス」に思い至ることはできません

日本の企業にありがちな 痒い所に手が届く気配りが「ユーザーエクスペリエンス」じゃない 単なる操作性とか使い勝手を意味する「ユーザーインターフェイス(UI)」でも説明できないものです そんな小手先のことではない
「ユーザーエクスペリエンス」はユーザーが自らの判断と経験で 主体的に製品・サービスを利用したいと思う価値観の共有です 顧客満足に近い概念かもしれない

マーケティングデザインとユーザーエクスペリエンス

インターネット・マーケティングの課題は「問題の解決方法を提案」でなく 「真の問題点を見いだす」ことです つまりソリューションではない

この真の問題点は マーケットリサーチやグループインタビューといった 旧来のやり方では見つけられません またビッグデータとかいうものでもだめです
なぜなら真の問題はユーザーよりも たぶん企業側にあるのです だからいくらリサーチしても どのような統計数字を持ってきても問題点は見えてこない 問題点が明らかにならないから方針が定まらないことになります

旧メディアを使う広告・広報・販促等のプランニングは クライアントから与えられた事案の最適解を提案することが主眼でした 問題点は最初から明確に示されます
そこには強大な影響力を持つマスメディアを通じて コンシューマーの行動をコントロールできるとの前提がありました 問題点に疑問を持つ必要などなかったのです

インターネットの時代 この大前提は崩壊しつつあります(最初からそんなものは幻想だったのかもしれません) 旧メディアの権威失墜が大きな要因です 新聞にニュースは見当たらず 雑誌は存在意義を失い TV番組は映像作りを放棄してしまいました
マスメディアが情報を発信する オーディエンスは受け取るだけ という図式はもはや成り立ちません

一方的な情報発信でない双方向時代のマーケティング事案は テクノロジーなんかで解決できません ヒューマンリレーションが大きな力を持ちます 人の心に訴えかけること 互いを尊敬することが大切です
この情勢を理解できない 旧来型の思い上がったマーケティングが ユーザーから手痛いしっぺ返しを受けています ユーザーと信頼関係を築けなければ インターネット・マーケティングは成功しません

お客様指向ってあり得るでしょうか お客様のご意見を製品開発に生かす? そうではない お客様とどのような関係を築くかが大事なんじゃないか つまり企業姿勢や製品開発の視点に好意と好感と信頼を持っていただくことです

iPhone iPad アップルのデザインは まさにユーザーエクスペリエンスを目指したものです 端正な外観 気品ある質感 なめらかな使い心地 これらは別にお客様の声に耳を傾けたり ニーズを汲み取った製品開発ではありません
さらにリンゴのマーク ガラス張りのアップルストア なによりも the legends of Steve Jobs すべてがマーケティングデザインとなっています
スティーブ・ジョブズの高い志が生み出し 所有することがユーザーの意識の高さを示す そしてユーザーは自らのエクスペリエンスを伝道します

近江商人の三方よし〜売り手よし・買い手よし・世間よし〜の精神に通ずるかもしれません 商の本道に立ち返るといってもよいでしょう[01] … Continue reading 誠を貫くのがインターネットマーケティングのあるべき姿なのです

註釈

註釈
01 さる実業家が松下幸之助氏に儲けるコツは何かと聞いたそうです 答えは「ザルで水を掬うようなもの」でした その人は千里の道も一歩からと受け取ったようです 儲けは後からついてくる ザルから溢れる水は買い手や世間に還元されるのです とくに世間が大事です 松下氏が晩年私財を投げ打って PHP研究所や松下政経塾を作ったのは そんな志からです
コメントは受け付けていません