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タグ: 奴隷

傭兵とオルレアンの少女と国民軍

イギリス王室に連なる人が軍務に就く伝統があるように ヨーロッパにおいて戦争は貴族が担うものでした そもそも貴族階級は戦争によって生まれたものです
中世は各地で戦争に明け暮れていましたから人的消耗が激しく 次第に貴族たちは兵役を忌避し 王の陣触れに戦費だけを負担するようになりました

その結果中世ヨーロッパの戦争は お互いが雇った傭兵隊同士の戦いになっていきます 傭兵は野伏の集団です 金ずくでやっているので どちらもなるべく損害が出ないよう戦います また一進一退で勝負をつけず 戦いを長引かせた方が有利です 傭兵はギリシャ・ローマ時代からあり 報酬は略奪によって支払われました[01] … Continue reading

派手に鉄砲や大砲を撃ち合い(当たらないように) 鉦・太鼓・ラッパでにぎやかに突撃を繰り返します そして有利な陣形をとった側を勝ちとする そんな実物大兵棋演習のようなことをやっていました そうでなければ 100年も戦争を続けられるものではありません

オルレアンの少女は そんな戦いのありように頓着することなく真剣勝負を挑みました 破竹の勢い連戦連勝でしたが 双方にとって迷惑この上ない話でした(戦争のルールとされるジュネーブ条約などは 傭兵隊同士の暗黙の取り決めが始まりです)

後年に登場したナポレオンが無敵を誇ったのも フランス革命後にできた徴兵制による平民軍を率いて 旧来の軍に立ち向かったからです 本来戦争には目的・目標があり 殲滅戦は避けるものです 平民軍はこのルールを無視しました
総力戦の始まりです 以来戦争は再び大きな人的犠牲を払うものとなりました ジャンヌ・ダルクが有名になったのは ナポレオンが自らの正当性のために喧伝したからではないでしょうか

註釈

註釈
01 イソップが奴隷だったというのは広く知られています 戦争に勝って鹵獲する略奪品は金銀財宝だけでなく 奴隷もありました 奴隷といってもそれぞれの専門職があって イソップは貴族の子息の教育係でした 兵士たちはそのまま兵(傭兵)となります
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鉄砲とイエズス会

戦国時代 世界中でいちばん多く鉄砲を保有していたのが日本だそうです かといって 鉄砲により合戦の戦術が変化したという記述はありません[01] … Continue reading
戦国時代の合戦は 弓矢で制圧射撃した後 槍で突き崩して勝敗が決します この弓矢と槍が鉄砲に取って代わっただけです 戦術そのものは変わりません

ただ甲冑の形は変わってきたようです 弓矢は曲射ですから 胴丸・腹巻などは斜め上からの矢を受け流す形になっています(雑兵がかぶる陣笠の後ろの布も 日除け雨除けではなく 兜の錣と同じく矢を防ぐためです) 対して鉄砲は水平撃ちなので平滑な単板装甲の胴になりました(南蛮胴ですね) また弓矢を防ぐ板状の置盾も 鉄砲玉を弾くよう竹を束ねたものに変わってきました

信長の鉄砲三段撃ちが真実で 有効な用兵法なら 他の武将も取り入れているはずです 秀吉の賤ヶ岳七本槍 一番槍の功名 槍一筋の家柄といった言葉が象徴するように その後も相変わらず主力武器は槍です 鉄砲が取って代わったわけではありません

戦術の変化どころか 戦国時代が終わってから 鉄砲は装飾過多の工芸品となり 武器としての役割を果たしていません 矢ぶすまとか弾幕と同じく イメージとしての言葉だけ一人歩きしている感があります

※以下は文献や資料の精査に基づいたものでなく まったくの私見です

鉄砲が流行したのは イエズス会の売り込みが功を奏したからではないでしょうか イエズス会は布教の費用を自前で賄わなければなりません 当時の日本の情況下で いちばん売れるのが武器です 宣教師は武器商人でもありました

信長がイエズス会を支援したのは 大量に鉄砲を入手するためだったと思われます 信長の軍勢は他の武将のような譜代の家臣と違い 野臥・足軽を大量に採用した混成部隊です 戦技にバラツキがあるため 弓矢に比べて習熟が容易な鉄砲を採用しました
さらにキリシタンと結託することで 僧兵や石山本願寺等の勢力を牽制する意図もあったでしょう そう考えてみれば戦国時代は 宗教戦争の様相も帯びていたといえます

秀吉の代になって天下が治まると 鉄砲の需要は急速になくなります その時イエズス会は資金稼ぎのために何をしたか
次に儲けの多い奴隷貿易を始めました キリスト教の布教と土地の開拓を口実に 日本人信者を東南アジア方面に大量に移住させました 実態は奴隷として売り飛ばしたのです 宣教師は奴隷商人も兼ねていました

これを憂慮した太閤秀吉は 切支丹を禁教としイエズス会を国外追放しました 家康以降もこの政策を継承したため 日本は植民地化から免れることができたのです 切支丹伴天連は植民地侵略の先兵であることを 両雄はちゃんと見抜いていました そもそもキリシタン大名たちは以前から領内の寺社仏閣を打ち壊していました

イエズス会はあきらめず(しつこく)その後も日本への謀略・煽動を継続し 島原の乱を起こしています[02] … Continue reading キリシタン反乱軍は練度も士気も高かったようですが 刀槍の術に長けておらず日本流の部署・区処(編成)と異なっている印象があります 原城側の主力武器はイエズス会が支給した鉄砲でした

註釈

註釈
01 西洋列強が世界を植民地支配したのは 新兵器鉄砲の威力によります 日本が植民地から免れたのも 戦国時代に鉄砲が伝来したため 各地の戦国大名が購入し また国産化し全国に普及したからです 西洋列強は武力では日本に太刀打ちできず 宣教師による間接侵略に切り替えました
02 キリシタン宣教師の布教は植民地支配が目的です これを禁教とした豊臣秀吉と徳川家康の英断が 日本の植民地化を防いだのです 島原の乱のあと宣教師の入国と謀略活動を禁止しました
キリスト教は一神教ですから神を信じる者(善)と異教徒(悪)の2元論です 自分たちの布教(植民地侵略)を妨害することは悪魔の所業です こうして日本の独立を護った政策が キリシタン弾圧・鎖国といった一方的で歪められた解釈になります
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お客さま第一主義でないホテル

ザ・ファクタ フリーコンテンツの記事によると 編集部が独自入手した「東京都内主要ホテルの収益力ランキング」で トップがザ・リッツ・カールトンだそうです
リッツ・カールトンといえば高級ホテルとして有名です この不況の中でも富裕層を対象とした高級ホテルは収益を伸ばしているのでしょうか
でも リッツ・カールトンより客室単価の高い マンダリン・オリエンタルが3位 ペニンシュラが6位です どうも高級志向とばかりはいえないようです

リッツ・カールトンは 第一に大切なのは従業員 次に取引業者 お客は三番目なのだとか
普通このような業種は お客様は神様のスタンスを取るものです(見方を変えれば 金を運んで来る客のわがままは我慢しようということで 客ではなく金に頭を下げているとも言えるのですが)
リッツ・カールトンは 紳士淑女をもてなすのは紳士淑女でなければならない[01] … Continue reading として従業員はすべて紳士淑女であれと教育しています そしてお客に対しても従業員を見下すような態度を取らないでもらいたい と言っているそうです
共同創立者の言葉によれば「当ホテルのお客様の99パーセントはとても良い方々です でも中には高い金を払っているのだからと 従業員に対して乱暴な振る舞いや無作法な態度の方がいらっしゃいます そのような方には紳士淑女として扱ってほしいとお願いします それが聞き届けられない時には他のホテルのご利用をお願いし こちらで予約をお取りします」ということだそうです

このホテルが 世界最高のホスピタリティだと評価され サービスに相応の対価が支払われるのです

揉み手をしながら客のわがままを何でも聞くのは本当のサービスではない お客が第一に来ると従業員が単なるサーヴァント(奴隷)になる恐れがあります それでは最高のホスピタリティを提供できません

リッツ・カールトンはホテルチェーンではなく ホテル運営会社なのだそうです 世界の各リッツ・カールトンには それぞれオーナーが別にいます
つまりリッツ・カールトン本体の商品は 従業員そのものなのです
従業員を大切にするのは 安易なヒューマニズムや労働者の人権などではありません 商品の品質を引き上げるのは 従業員のプライドと資質であることを見事に実践しています
従業員の資質の差がホスピタリティの差となり それがそのまま収益力の差となって現れた形です
家族主義経営などという人情論では この不況を乗り切ることはできません 温情だけでも効率だけでも モチベーションは上がらないのじゃないでしょうか

註釈

註釈
01 イギリス(イングランド)貴族に仕える執事の多くは ウェールズの没落貴族だったそうです 貴族階級のしきたりに通じていなければ務まらない仕事なのです 子女の教育係も同様です 貴族として躾けるのは貴族でなければならない
またギリシャ・ローマ時代の奴隷は 戦争に負けた側の捕虜なのですが 貴族階級出身者は やはり執事や養育係の仕事をしていました イソップは教育係でした 兵士はそのまま傭兵となります 兵士も職業であり忠誠心はあまりなかった
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