コンテンツへスキップ →

タグ: 国民皆兵

脅威からの防衛

アメリカの州兵は 米国土と米国民を脅威から防衛するのが任務です 脅威は暴動や外国勢力の武力攻撃とは限りません 自然災害も含まれます 山火事・洪水で州兵が出動するのはよく聞くことです

平成27年9月の鬼怒川氾濫で 救助に当たった自衛隊の人が「これは実戦」といっていた言葉が印象的です ヘリボーン作戦の訓練を積んだからこその水際だった成果です

国軍でない自衛隊はおそらく アメリカの州兵がモデルとなったのでしょう(警察官が地方公務員と国家公務員の2重組織なのも シェリフと郡警察がモデルかもしれません) 交戦権を認めず統帥権規定のない現行憲法のもと 日米軍事同盟は対等ではありません 有事の際自衛隊は州兵と同様の扱いで アメリカ連邦軍指揮下に入ることになりそうです

他の国でも軍の仕事は戦争することではありません いつ来るかわからない脅威に備え 訓練することこそが仕事なのです ですから多くの軍人は 戦闘することなく退役していきます 軍備も一度も使われることなく更新されます[01] … Continue reading
有事に備えること 百年兵を養うとはそういうことです 警察・消防もむろん災害救助の機能を持ちます しかし大規模災害に対応できるほどの機動力はありません 武力攻撃の場合には全く無力です

おなじ非常時で人死にが出る 武力攻撃と自然災害を区別する必要性などありません それぞれの危機別に装備を変えるとか 自衛隊を武装解除して災害救助隊に特化するなんて 無意味な現実をみない発想です 日本を敵視している勢力に利するだけです
対抗勢力甲・乙・丙のうち 甲と乙は国連常任理事国であり 丙は最初甲の隷下のち乙の属国に戻りました 国連の敵国条項はいまだ有効です 日本が国連の軍事行動に同調したり人員を派遣することが いかに矛盾に満ちた行いかが分かります

日本国憲法、国の主権

日本国憲法が発布されるとき 社会党は占領軍の押しつけ憲法反対と唱えていました いつの間にか平和憲法などと言い換えたのも すべて中共の意向によるものです
人民解放軍は陸軍主体で そのころの海軍力は取るに足らず 脅威ともいえないものでした しかし社会党等の利敵工作に助けられて軍備を増強し形勢は逆転 今や東シナ海・南シナ海とも中国が制海権を握るに至りました
ここにくるまで中国は70年の時をかけたわけです 百年兵を養うとはこういうことをいいます 別に孫氏の兵法ではない どこの国でも当たり前にやっています

徴兵制度の国は少なくなる趨勢にあります 一般に志願兵のほうが士気が高く したがって練度も高くなることが理由です 現代の常備軍は高度に専門化された職業軍人の技能集団です
アメリカがベトナム戦争で負けた原因は 初期の兵力逐次投入に加え 徴兵制による練度不足の兵が我の犠牲を招いたからです
近代の徴兵制はフランス革命(市民革命)後に制度化されました 当時の戦いは兵の数で勝敗が決することが多かったのです(人海戦術の始まり?) 徴兵による軍隊は国民軍・市民軍であり国民主権に深く関わっています

国の主権には独立・統治・参政といった概念があります 中でも国際関係における独立国としての権利が根幹です 独立とは他国から干渉を受けないことをいいます
英語のsovereigntyは統治者と独立国を意味します すなわち外交と国防は国の主権者の重要な責務となります 国を統治する者は国益を護らなければいけません

王様が統治する場合 国防は国王の役割です 名目上ですがイギリス軍は女王陛下の軍隊です 伝統的にイギリス王室は軍務に就き 有事には臣下たる貴族が参戦します ノブレス・オブリージュですね 貴族とは要すれば出兵の義務を負う軍事組織です
王政でない主権在民では 国防を担うのは国民というのが徴兵制・国民皆兵の主旨です そのため多くの場合 参政権と兵役の義務は一体のものです 国民主権であるならば 国民自らが国の独立を守る義務があります

アメリカ連邦軍は徴兵を停止していますが 18歳で選挙権を得ると同時に兵役の登録をします これを拒否すれば罰則がありますし 兵役の義務を果たさない者は職業選択に影響があります とくに連邦政府の仕事には原則として就けません[02] … Continue reading
国民皆兵制のスイスで長く女性の参政権が認められなかったのも 女性には兵役の義務がなかったからです 主権とは独立国という意味です 国の独立はどこかから与えられるのではない 自ら勝ち取るものです 主権という権利には国防という義務が伴うのです

日本国憲法前文の英語原文を 恣意的解釈でなく機械翻訳させてみると「日本国民は、恒久の平和を念願し、人間関係を支配する崇高な理想を深く自覚し、平和を愛する世界の人々の正義と信仰を信頼して、私たちの安全と生存を守る決意をしています。」となります 憲法9条においても「日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、国の主権的権利としての戦争と、国際紛争を解決する手段としての武力(原文=sovereignty power)による威嚇又は武力の行使とを永久に放棄する。」となり 国際関係における日本の主権(独立)を放棄しているのです[03] … Continue reading

武力行使は攻撃と防御で成り立つのです 戦争に侵略とか防衛の区別なんてありません 戦争を捨てるとは自衛もしないことを意味します 自らの手で自国のセキュリティと存在を守る すなわち交戦権は国の権利ですから 戦争(と外交?)を放棄するとなると主権も放棄しなければ辻褄が合いません
領土・領海はすぐれて主権の問題です ロシア・韓国に固有の領土・領海を占拠されながら何もしないのは 日本国憲法の精神に則ったことといえます

註釈

註釈
01 訓練も実戦もやることは変わりません 死傷者が出るか出ないかの違いくらいです 中世ヨーロッパの百年戦争は傭兵隊同士の戦いでしたから お互いに消耗しないよう暗黙の取り決めがありました 模擬戦争ですね これを無視したジャンヌ・ダルクは練度不足の市民兵を引き連れて攻撃を仕掛け 双方に多大な犠牲者が出たのです 毛沢東案出の人海戦術に似ています
02 当選したアメリカ大統領が 兵役の義務を果たしているかどうか論議されることが度々あります 大統領は連邦軍を統帥しますから当然のことです ケネディーは沿岸警備隊に所属していましたが トランプは兵役を免れています 州兵にも属してなかったんじゃないか
03 日本国憲法が占領憲法である本質は まさに憲法前文と9条条文にあります 安倍晋三が憲法改訂をもくろんでいますが もし条文を変えたり加筆した場合 オリジナルの英語版も変更するのでしょうか?
コメントは受け付けていません

傭兵とオルレアンの少女と国民軍

イギリス王室に連なる人が軍務に就く伝統があるように ヨーロッパにおいて戦争は貴族が担うものでした そもそも貴族階級は戦争によって生まれたものです
中世は各地で戦争に明け暮れていましたから人的消耗が激しく 次第に貴族たちは兵役を忌避し 王の陣触れに戦費だけを負担するようになりました

その結果中世ヨーロッパの戦争は お互いが雇った傭兵隊同士の戦いになっていきます 傭兵は野伏の集団です 金ずくでやっているので どちらもなるべく損害が出ないよう戦います また一進一退で勝負をつけず 戦いを長引かせた方が有利です 傭兵はギリシャ・ローマ時代からあり 報酬は略奪によって支払われました[01] … Continue reading

派手に鉄砲や大砲を撃ち合い(当たらないように) 鉦・太鼓・ラッパでにぎやかに突撃を繰り返します そして有利な陣形をとった側を勝ちとする そんな実物大兵棋演習のようなことをやっていました そうでなければ 100年も戦争を続けられるものではありません

オルレアンの少女は そんな戦いのありように頓着することなく真剣勝負を挑みました 破竹の勢い連戦連勝でしたが 双方にとって迷惑この上ない話でした(戦争のルールとされるジュネーブ条約などは 傭兵隊同士の暗黙の取り決めが始まりです)

後年に登場したナポレオンが無敵を誇ったのも フランス革命後にできた徴兵制による平民軍を率いて 旧来の軍に立ち向かったからです 本来戦争には目的・目標があり 殲滅戦は避けるものです 平民軍はこのルールを無視しました
総力戦の始まりです 以来戦争は再び大きな人的犠牲を払うものとなりました ジャンヌ・ダルクが有名になったのは ナポレオンが自らの正当性のために喧伝したからではないでしょうか

註釈

註釈
01 イソップが奴隷だったというのは広く知られています 戦争に勝って鹵獲する略奪品は金銀財宝だけでなく 奴隷もありました 奴隷といってもそれぞれの専門職があって イソップは貴族の子息の教育係でした 兵士たちはそのまま兵(傭兵)となります
コメントは受け付けていません