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カテゴリー: マーケティング戦略論

需要喚起

どのテレビ局だったか忘れましたが みのもんた氏が司会する番組で 客が来ない飲食店をテコ入れするというのがありました(貧乏脱出何とかだったか)
なにしろゴールデンタイムに 1時間も2時間も放映するのですから それこそ広告費換算何億円になります 番組内での繁盛ぶりはヤラセもあるでしょうが その後の客数増加は相当のものだったと思います

そして想像通り 何カ月か経って店は畳まれます 客が来ないのにはそれなりの理由があったわけで 一時的な売り上げ増は反動も大きい
仕入れた食材の支払いは 客が激減した(元に戻った)頃やってきます 結局資金繰りがつかなくなるのです もともと無計画で営業努力しない店主ですから

むりやりでその場限りの需要喚起は 体力を消耗するだけです そういえば このごろ「楽天売り上げナンバー1!」てフレーズが影を潜めましたね
TVのタイアップ企画で盛んに煽っていたのですが 77%オフの詐欺商法あたりから 勢いが鈍ってきたんでしょうか 楽天本体は カードの手数料・利息で稼ぐ方向に転換したのかもしれません

ショッピング系だけでなく 銀行カードもリボルビング専用が多いみたいです 利用限度額を低くし数万円の小口貸付で商売する 街金と同じやり方です
高利貸しは利息が入ればいいんで 耳を揃えて元金をすっぱり返されたんじゃ 儲けにならない わずかな利息しか払えない人が上客になります

いわゆるサブプライム層に当たると思いますが これは決して年収の低い層ということではない いってみれば浪費家ですね
いま総務省(自治省→内務省)がマイナンバーをクレジットカードや預貯金に紐づけようとしています クレジットヒストリーやスコアを一本化して 何を企んでいるのでしょうか

複写用紙にエンボスのナンバーを圧印してた頃 クレジットカードはステイタスでした いつの間にか金貸しの会員証と化したようです
それだけでなく電子マネーなどといって さまざまな仮想通貨を作っています すべてをカードに集約すれば 金銭の流れが把握できなくなり ブラックボックス化します

馬脚を現した年金制度のように 目に見えにくくして 巧妙に金を抜き取るようなことにならねばいいのですが
赤字国債を発行したときから 日本は破綻の道を進んできました 借金の感覚がなくなり 浪費はとどまるところを知らず拡大し続けています もはや多重債務状態です
東京オリンピックという幻影を掲げて また姑息な需要喚起を計ろうとしています パンとサーカスのような目眩ましでしょうか 荒涼たる「負」のレガシーが待ちかまえている気がします

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森と人

宮澤賢治の「狼森と笊森、盗森」に

そこで四人の男たちは、てんでに好きな方へ向いて、声を揃えて叫びました。
「こゝへ畑起こしてもいゝかあ。」
「いゝぞお。」森が一斉にこたへました。
みんなは又叫びました。
「こゝに家建てゝもいゝかあ。」
「ようし。」森は一ぺんにこたへました。
みんなはまた声をそろへてたづねました。
「こゝで火たいてもいいかあ。」
「いゝぞお。」森は一ぺんにこたへました。
みんなはまた叫びました
「すこし木貰ってもいゝかあ。」
「ようし。」森は一斉にこたへました。

という一節があります

宮澤賢治が何に触発されて この童話を書いたのかは分かりません イギリスに憧れていましたから あるいはロビンフッドなど森の住人に想を得たのか
私には縄文の人たちの暮らしぶりを見る思いがするのです ロビン・フッドは緑の衣装ですから 春の芽吹きを象徴する キリスト教以前のサンタクロースの原型[01] … Continue reading 日本でいえばナマハゲに相当します

イギリスは島国です しかし海岸を急峻な断崖が巡る地形ゆえ 漁業はあまり盛んではなかった そこで森の木を切り倒し畑や牧畜を営みました イギリスにはストーンヘンジという巨石の遺跡があります アングロ・サクソンやケルト人以前の人々が作りました 先住民が森の神々を祀った跡でしょうか 人格化したのがナマハゲ・ロビンフッドなのでは

日本は同じ島国でも なだらかな海岸が連なる山勝ちの土地です 海と森に依存した生活を営んでいました 宮澤賢治の童話では 森の神々に粟餅[02] … Continue readingを供える風習のいわれを書いています 人々は森と共存するのです

水木しげる氏の世界とも共通するように思えます 森に住む狼(大神)や異形の神々は 柳田國男氏がいうように 縄文あるいは石器時代の神々でありましょう
西洋の狼男も吸血鬼も 活躍するのは月夜の晩です 我が森の神もまた 月読命が支配するのではなかっただろうか

狼の森での火祭りのシーンは印象的です 日本狼が滅びて森の秩序が失われました いま里山から動物たちが下りてくるのは 人々が森への畏敬を忘れたことへの警鐘とも思えます この遠因には薩長明治政府による国家神道があります
そういえば賢治の童話には ドングリがよく出てきます 樹の実は石器時代それ以前から常食されてきました 縄文時代にはドングリも栽培されていたようです そして粟や栃などから稲作(熱帯ジャポニカ米=縄文時代に栽培されていた陸稲)へと続きます

註釈

註釈
01 サンタクロースの衣装が赤と白になったのは コカ・コーラのキャンペーンからです 夏場の季節商品であったコカ・コーラを通年商品にしようと クリスマス前夜コーポレートカラーである赤と白の衣装を身につけたサンタクロースが プレゼントとして瓶入りコカ・コーラを配布したのが始まりです サンタの衣装はこうして定着し フィンランドだったかの公式サンタも赤・白の衣装を着ています
02 子供の頃 小学校近くにある神社の宮司家が 神事用の五穀を栽培していました よく覚えていないのですが 近くに粟林もあったと思います
縄文あるいは石器時代まで遡れば 宗教はなくいわば神話の時代です 祭祀として形を整えるのは ずっと後の時代です 神社神道に至っては平安以降です 神社に神木と称せられる巨木があるのは 森の民であった記憶からでしょう
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マーケティングのP(4p)

マーケティングの4pというものがあります プロダクト・プライス・プレイス・プロモーションです
それぞれのpを脈絡なく勝手にやっていては マーケティングが成り立ちません 製品作りと価格設定 売り方と方向性が一致して 初めて製品・サービスは市場に受け入れられます

つまり四つのpをパッケージングするのです P(4p)という感じです 社内すべての部門でコンセプトに一本筋が通っていなければならない(四つ葉のクローバーでいえば茎に当たる) これはそのままブランディングにも通ずる施策といえます

物を作るということ それを売るということ 志と理念が伴わなければ お客様の情緒にまで届かないのです 客は理性で物を買うのではない 感情の動きに左右されています 機能性・品質で製品を選んでいるように見えても 最終的に決定するのは好感度や信頼感です

多くの企業では とくに意識せず四つのpを行っています 意識してパッケージングすることが ブランディングの第一歩かもしれない
根幹にあるのは企業理念なのですが 社是・社訓ではだめ もっと感覚的なものです 企業風土・文化といった方がいい

客のブランドに対する感情は曖昧で 確たる意志で決定するものではありません 嫌いな理由は比較的はっきりしているが 好きなのはなぜか自分でも うまく説明できない
価値観といっていいかもしれない 企業と客が価値観を共有して そこにブランディングが成り立つのではないだろうか そこで最も重要になるのがコミュニケーションです

お客様のところに届けるのは 製品・サービスであると同時に満足感であり 信頼感また達成感でもあります(分かりにくい言い方ですが その商品を買った自分の判断の正しさを確認すること)
企業側から見れば 自らの製品作りの信念・思いを認めてもらうことといえます お客様の志向や希望にそのまま合わせるのとは違います 商品・サービスを通じて価値観のやり取りをする

客は自分が何を求めているか 実はよく分かっていない 客は問題提起するが その答えを出せるのは企業です 売ると買うとはコミュニケーションそのものだと思います 商品・サービスを知らせる・知る→購買する→満足する→好感・信頼感を抱く この循環に意思の疎通がなければならないのです
客の問題意識は様々ですし 対する答えも一様ではない マーケティングの問答に唯一の正解はありません 企業それぞれの立ち位置を明確に示すことが マーケティングであり ブランディングといえるのではないですか

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