Amazonはきわめて洗練されたカタログショッピングです といっても現在の形になったのは最初から意図していたことではないと思います インターネットに特化した流通網を築き上げるという 揺るぎないコンセプトを保ち続けた結果です ぶれない価値観を持てば どのような技術革新・変遷があろうと柔軟に対応していけるのです
通常(旧来=紙媒体)のカタログショッピングでは 複数のカタログを制作します 男女別それぞれにシニア向けとヤング向け 都合4種類が作られたり あるいはF1層に向けたカタログなどです いわゆるマーケット・セグメンテーションです(なんか用語が古めかしいですね)
これらのカタログを 場合によっては各シーズン年4回作ったり イベントごとに特集号を作ります 月刊誌の体裁を取るものもあります もちろん紙メディアですから編集だけでは済まず 印刷と配送が必要になります
(※2020年12月10日追記=IKEAが70年続き全世界で2億部の発行部数を持つ 紙ベースのカタログを廃止するそうです 実店舗での販売が主だった小売店ですが インターネットでの売り上げが急速に伸びたのです 時代の趨勢ですね)
Amazonは紙メディアのカタログを作りません ホームページに商品情報を配置しています 大きな特徴は ただ単に紙がwebに置き換わった(印刷・配送費を節約した)だけのものではないことです
web上の仮想店舗は フィジカルな商品の在庫状況を反映しています さらに商品の受注・物流そして販売・顧客管理まで すべてインターネットを介して 一元的なフラットな流通網を形成しているのです クラウドの観念を最初から持っていました
Kindleにいたっては 商品そのものまでがフィジカルでなく仮想化されます これは物流・在庫経費を究極に簡素化するシステムで いかにもAmazonらしい発想(商品)です デジタル化された情報とフィジカルな物流が一体化されているのがAmazonの正体といえます
紙メディアのカタログは いったん印刷したらもう変更できません 間違いがあっても正誤表を後で送るぐらい 商品の差し替えも価格の訂正も不可能です 次回カタログ配布までの時間がそのまま在庫に繋がります
web上のカタログ(仮想店舗)なら いつでも臨機応変に商品の変更が可能です その上レコメンドエンジンにより カタログは個人向けにカスタマイズされます セグメンテーションなんてものじゃない 個人のインタレストに応じたカタログが生成されるのです
このパーソナライズされるカタログはビッグデータがベースです そして将来は 個人のインタレストに応じたデータに基づいて 商品の仕入れや物流まで管理することができます(現状ではまだそこまでいってないと思いますが「Fire phone」は始まりの印かもしれません)
いずれは個人専用の仮想商品棚ができ 好みに応じた商品がすぐ近くのデポに置かれることになるのです そうなると もはや仕入れ・在庫・物流の観念もなくなります いってみれば 仮想空間・現実空間すべてがAmazonの倉庫になるのです