敵に塩を送る

何でも中国から朝鮮経由で伝わったと思い込んでいる学者が 朝鮮半島で塩田の跡を探したそうです もちろん見つかるはずがありません 騎馬民族の蒙古料理を見れば味付けは岩塩です 大陸の人たちは岩塩を利用していました 前提そのものが間違っているのです ちょっと考えりゃ子供でも分かることです
そもそも世界の食塩は70%が岩塩だそうです 掘るだけですから手間がかからない 日本で岩塩はとれません それで大変な労力をかけて海水から製塩していたのです 日本は島国で砂浜が広がり陽光が降り注ぐ風土です 塩もまた海からの恵みなのです

塩といえば上杉謙信公の逸話があります 今川が武田へ経済制裁したことを義に悖るとしたのです 塩が戦略物資に使われたのは 調味料としての需要でなく 食品の加工・貯蔵に重要だったからです 食品の保存・流通のためには乾物か塩漬が全てでした[01] … Continue reading 発酵食品にも塩は不可欠です ヨーロッパでもかつて塩は戦略物資でした ザルツブルクは塩の城という意味です 岩塩の産地であり塩の通関料を徴収していた名残りです[02] … Continue reading

今の日本は塩田がほとんどありません しかし製塩はしています 中国などから岩塩を輸入し水に溶かして イオン交換膜で精製します なぜ自然塩でなくそんな手間を掛けるかというと 7割以上が工業用の需要(ナトリウム製造の原料)だからです
専売公社の取引先は日本曹達などのナトリウム製造会社です 食塩として使われるのは3割以下 しかも加工食品に使われる方が多い そのうえ加工食品にはナトリウム化合物が大量に使われます 代表的なのがグルタミン酸ソーダ(味の素)ですね
添加物でなくとも加工食品製造工程に〇〇ソーダが欠かせません 塩分摂り過ぎの害といわれるのは 実は加工食品に使われるナトリウム障害です(製品化の前に中和したり取り除くことにはなっています)
いつの頃からでしょう減塩がいわれるようになり 加工食品は全てと言っていいほど 保存料が使用されています 味を補うために化学調味料も多用されます 塩が健康に悪いという減塩キャンペーンは プロパガンダだったのではないか? 家庭用食塩が売れなくなっても専売公社の売上に影響はなかったのです[03] … Continue reading

現状で塩は戦略物資ではないでしょうが 多くを中国に頼っているのはどうなんでしょう ナトリウムはあらゆる化学工業で使われるそうです 広範な需要があるということは産業に欠かせない基幹物資です レアでないとはいえ重要なことに変わりありません
確実な需要があるため専売公社が塩を独占していました 海水から作る日本の塩は製造コストがかかります そのため安い中国産岩塩等を輸入するようになりました ただ金儲けのためだけです 国家戦略でもなんでもない 日本の製塩はおかげで消滅してしまいました
現在のニガリ入り食塩は 専売公社から塩化ナトリウムを買って 海水からとった苦汁を混入したり 外国産の天日塩を日本沿岸の海水に溶かし 再結晶させた製品です[04] … Continue reading

註釈

註釈
01 別に分ける必要ないのですが 遊牧民=乾物(風干し前に塩漬けします) 農耕民=塩蔵(漬物)というイメージがあります 移動するには軽いほうがいいですし 放牧地は乾燥地帯です 農業に水は欠かせないし 農耕は定着しなければなりません
02 ビーフィーターという名前のジンがあります ラベルにはロンドン塔の衛兵が描かれています 衛兵の俗称がBeefeaterでした 彼らの給金が牛肉だったからと言われます 日本の武家も扶持米が支払われていました 米は貯蔵可能で兵糧に適しています
この牛肉も保存用の塩漬・干し肉だったのではないでしょうか 塩漬け肉にはミネラルたっぷりの岩塩が使われます さらに硝石を加えることもあります 精製しない岩塩は肉の臭みを抑え保存性を高めるのです
03 減塩なのに〈保存料不使用〉と書いてある加工食品があります しかし発酵調味料・発酵風味料と記載されていれば それは保存のために使っています ソルビン酸等を使ってないというだけのことです
〈化学調味料不使用〉の加工食品は 蛋白加水分解物を使っています これはクズ肉を原料としていますから 有機食品と表示されます 最近は酵母エキスが主流みたいですね ビール醸造などの搾りカスが原料です
04 塩化ナトリウムに苦汁等を加えた加工食塩は自然塩ではありません 料理人に聞いたところ焼き魚に振る塩は ミネラル過剰の加工食塩より むしろ専売公社の精製塩の方が旨く焼き上がるそうです 今はない(店主が亡くなった)焼き鳥屋さんの手羽塩焼きは やはり普通の塩を使うと言ってました ごまかさない鶏肉の味がする美味いものでした 素材の味を引き立てる日本料理には雑味のない塩なのです
カンスイは中華麺製造に ニガリは豆腐の製造に使われるくらい こんにゃく製造工程の消石灰と同じく 調味料としては使われません 旨味ではなく雑味ですからね 砂浜に撒き天日の下で濃度を上げた海水を 煮詰めて塩の結晶を得ます 塩をとった残りが苦汁です 中華麺に使われるカンスイは塩湖(鹹水湖)から採取するものでした 天日塩の副産物であるニガリとは異なります