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タグ: キャンペーン

野沢菜漬 ネーミングとブランディング

商標でないネーミング

野沢菜・広島菜・高菜が三大漬け菜[01] … Continue readingという風説があります 誰が言い出したか どんな根拠かは不明です それがもっともらしく流布されている 高菜は古くからの呼び名ですが 野沢菜・広島菜は地名を付けたもので近年の呼び方です
広島菜の名は明治後期かららしい 野沢菜といわれるようになったのは ごく最近のことです 野沢温泉の観光キャンペーンで 野沢菜漬けのネーミングができたといいます 温泉地のキャンペーンが成功したかどうか知りません 副次効果として野沢菜漬けが全国に知れ渡ったのは確かです[02] … Continue reading
野沢菜の生産量は長野県が過半数を占めます でも野沢で冬期の漬物に使われるのは 徳島県産だそうです(野沢温泉の温泉水で洗えば 野沢菜漬けだなんて言い訳してますが)

本名はカブ菜

隣接する新潟県でも昔から このアブラナ科の菜っ葉が漬け物にされていました もっぱら漬け物用なので「漬け菜」といってましたが 別名を「カブ菜」ともいい 根っこには小さな蕪が成っていました
漬けるときは 固い蕪の部分を少し削り落とします ちょうど京都のスグキ漬けのようなやり方です カブ菜漬けは茎を食べるものだからです(スグキも酸っぱい茎からきたのではないでしょうか) 確かなことは分かりませんが スグキの近似種であるカブ菜は 京都から伝えられたとも言います
京の人たちは相変わらずスグキ漬けと言ってますが 新潟県でも最近はカブ菜漬けを野沢菜漬けと言うようになりました いま漬物用のカブ菜を収穫するときは 蕪根を残して葉柄だけを刈り取ります 野沢菜の名が一般的になってから 根に蕪があることを知らない人が大半かと思います

塩漬けが正当

野沢菜であろうと広島菜であろうと高菜であろうと 本来は塩漬けです いまの地名を冠した漬け菜は 醤油ベースの調味液に浸したものが主流です 浅漬けと称していますが 漬け物とは言い難い和風味マリネですか いわゆるサラダ感覚なんでしょう
カブ菜は初冬に塩漬けします 乳酸発酵し塩味が馴れ酸味が出たときが漬け菜(カブ菜漬け)の味です 菜から出た水分が上がってきて 表面には氷が張っています 冬のあいだ発酵はどんどん進み 時間が経つにつれ味わいも変わります

古漬けの味

雪が融けて春先ころには酸っぱすぎて そのままでは食べられないほどです そこで古漬けの漬け菜を水で煮て 酸味と塩味を和らげます 新潟の郷土食である煮菜(にいな)です 料理ともいえない質素で簡単 そのままの名称です 煮るときかなり匂いますけど
煮干しを使って煮たり 打ち豆その他を入れたりと アレンジする家もあります 私はただ水で煮ただけのものが好きです 塩と乳酸発酵で引き出された カブ菜の持ち味は 驚嘆するほど奥深い旨さです 人工調味液なんかでは出せない 滋味を持つ一品です

出し味の野沢菜漬けと称する浅漬けは 調味液に浸しただけですから 時間が経っても酸味は出ず 塩も利いてないので 発酵ではなく腐敗するだけです これを煮てはいけません 極限まで発酵した乳酸菌の力あればこその煮菜です[03] … Continue reading

註釈

註釈
01 三大〇〇 三位一体 三羽烏 三はそれぞれ並立するイメージがあります 三角形や三点支持は安定していますから 昆虫の六本足も三本づつの三角形です(三角を組み合わせた六芒星の形) 二だと 両雄並び立たずとか竜虎相搏つといった 対立の構図になります 三つ巴の争いなんてのもあるか
02 野沢菜は商標登録されてないと思います このように地名を冠したネーミングが一般に使われれば ブランディングとなります 「くまモン」は商標登録されていますが 使用料がいらないため 広く使われることとなりました
古くはディズニー近年はサンリオなどの キャラクター商法と反対の行き方です マネタイズするのが目的でないので 直近の利益を求めることはできません
03 古漬けを料理に使うのは珍しいことではなく 高菜の塩漬けを油で炒めてもうまいし 中華料理によく使われます ドイツの郷土食ザワークラウトは 鯉・鰻の煮付けやシチュー・炒めものなど 旨味・酸味・塩味の漬け汁とともに さまざまに利用されます
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コーラスグループのブランディング

キャンディーズという事象

キャンディーズというコーラスグループがありました 1972年デビューから4年半の活動で自ら解散した 清純な歌声の三人組でした 日本に勢いがあった昭和のノスタルジーとともに記憶に残ります
ブランディングとはファンを作ることです 顧客があって初めてブランドが成り立ちます 解散に向けてファン(顧客)が全面的に応援したところに キャンディーズというブランドの価値があります[01] … Continue reading

キャンディーズは最初アイドルグループとしてデビューしたとはいえ 本格的なコーラスグループでした(むろんポップス・歌謡曲ですから 単純な女声3部合唱ではありません) そしてお笑いトリオ(?)の面も持つ多様性が特徴です 芸能界でも異彩を放つ独自の存在だったのです 昭和という時代が生んだエンターテイナーといえます
キャンディーズの前にキャンディーズなく キャンディーズの後にキャンディーズなし 唯一無二の存在であるから[02] … Continue reading すなわちブランドなのです

キャンディーズの頃

先日のこと YouTubeで他の曲を聴いていたのですが キャンディーズが その曲をカバーしているバージョンがあります 何気なく聴いてみたところ これが驚くほど上手いのです
ほかを探してみたら ザ・ピーナッツの曲を歌ったものが素晴らしい出来です ザ・ピーナッツの歌唱力には定評があります それに伍しているばかりでなく[03] … Continue reading 三人三様の個性を生かしたハーモニーは見事でした 何よりも丁寧に歌っているところに好感が持てます ちゃんと音楽を勉強した上手さです
ライブの録音を聴いてみました 息切れ一つせず 3人のコーラスに乱れはありません バックバンドMMPとの掛け合いも絶妙です 相当のレッスンを積んでいるのでしょう[04] … Continue reading さらに感心したのが 観客に語りかける際のきちんとした言葉使いです 1曲終わる毎に3人揃って 深々とお辞儀するのも自然な仕草ですし 良識を持った人たちですね

現役時代のTV[05] … Continue readingも見ていましたが こうやって改めて視聴してみると 3人が3人とも 気立てが良い素直でピュアな印象の方々です 癖のない歌声も飾らない笑顔も そしてたぶん心根も無垢で真っ直ぐに違いない[06] … Continue reading
コーラスグループのメンバーは 従業員であり自らが商品でもあるという特異な存在です(キャンディーズはレコーディングの際 曲作りにも参加していました 曲冒頭のスキャットは大体3人で考えたらしい 譜面を渡されて歌うだけでないのです キャンディーズサウンドは藤村美樹が作ったと言っていいでしょう) オーディエンス(顧客)を大事にする心構え 商品力を磨きあげる真面目さが伺えます まさにプロフェッショナル精神に徹したエンターテイナーです[07] … Continue reading

当初は渡辺プロダクションの商品であったでしょう キャンディーズというネーミングが示すように マスコット的なキャラでした 人受けのする田中好子をメインボーカルにした アイドルグループとしての仕事に 溌溂と取り組んでいました[08] … Continue reading
それだけでなく 自分たちでキャンディーズというコーラスグループを作り上げる 自覚と自信と自負を持っていたと思います[09] … Continue reading 音楽面では声域の広い藤村美樹が中心となり ハーモニーを支える役割でした 
研鑽を重ねることで グループのカラーが次第に変化するのを見抜き 気負わない歌唱の伊藤蘭をセンターにした判断は プロデューサーの手腕に負うところが大きいですね お姉さんキャラで打ち出した曲が大ヒットしました

3人とも才能はあったにしろ 一人ひとりは美空ひばりや藤圭子のような天才ではなく 際立った個性も持ちません しかしキャンディーズサウンドは唯一のものです 声質が違いながらユニゾンは 一つの声になっています 曲の中で主旋律を交代したり上と下が入れ替わる 多彩なコーラスワークも特徴です この三人でなければ成し遂げられなかった 呼吸(意気)が合っている結束の力によります チームワークと不断の努力[10] … Continue readingで成し遂げた実力ミュージシャンでした
キャンディーズを評価するとき欠かせない観点は スクールメイツ出身であることです 東京音楽学院在籍者から選抜されたのがスクールメイツです キャンディーズはさらに その中からオーディションを経て結成されました[11] … Continue reading 3人は正当な音楽教育を受けた確かな歌い手なのです
身長と体型から3人ともさほど声量はありません 個性を打ち出す歌い方ではなく どちらかというと歌のお姉さん優等生の上手さです それだけに3人のハーモニー(協調性)で楽曲を表現します
そこに音楽表現のダイナミズムが生まれます 活動後半期の「やさしい悪魔」あたりになると 極めて高度なコーラスの完成度を見せます 二十歳そこそこの方々に対して適切ではないのですが 円熟の境地に達しているという感じです 

キャンディーズとブランディング

ブランディングでもっとも大切なのは 従業員の意識の持ちかたと顧客を大切にする姿勢です(コーラスグループでなくても 従業員は最大・最良なメディアです) 社是・社訓ではない マニュアルでもない 数字に表れないエモーショナルなうねりです[12] … Continue reading 従業員の意識が 立ち居振る舞い・言葉の端々表情にも如実に出ます そして顧客に伝わるのです
近ごろは ブランディングを標榜するコンサルタント会社がみられます 以前はやったCIと同じく ブランディングには経営層の承認が必要です コンサルティング会社にとっての客は社長なのです 社長の判子がもらえれば商売は成り立ちます そこから先の従業員やエンドユーザーを考慮する必要はありません 現場を顧みないプランニングは 経営層の受け狙いの御為倒しとなります

キャンディーズは 自分たちの商品特性とライフサイクルを正確に理解していました 一度できたブランドにいつまでも縋らない 最高の状態で解散することを最初から考えていたそうです 自分たちで築き上げたキャンディーズであるからこその決断です[13] … Continue reading
ブランディングとは お客様に商品のファンになっていただくことです キャンディーズには 全キャン連というファンの全国組織まで 自発的に生まれました ファイナルカーニバルに向けてのキャンペーンでは 3人の意志をファンが支えて デビュー以来最大の盛り上がりを見せました

解散の宣言をまず観客に告げたのは しっかりと顧客に向き合っていたことを現します その真摯な姿勢にファンが呼応し共鳴し うねりを生じたのです
こうして今に語り継がれる キャンディーズ1676日の軌跡が生まれました お客様(ファン)とともに物語を紡ぎ出すことが すなわちブランディングです
キャンディーズの自立精神は 所属プロダクションを動かし 顧客は自ら参加し エバンジェリストとなりました 図らずもブランディングの成功事例となったのです

キャンディーズの意識の高さに加え 音楽プロデューサーの力量にも素晴らしいものがありました いま楽曲を振り返ってみると すべて夢見る年頃の おとぎ話のような恋を歌っています 洗練された曇りのないハーモニーが清々しい 3人のイメージを生かした あたかも等身大の日常を思わせます[14] … Continue reading
しかも デビュー時17・8歳〜解散時21・2歳という 少女から大人へ移り変わる 彼女たちの実年齢に合わせるかのように 曲調・内容が少しづつ成長しているのです 当時のことですから むろんブランディングなどという言葉はありません しかしブランドのストーリー作りという意識は持っていたでしょう[15] … Continue reading

註釈

註釈
01 キャンディーズというブランドが成立したのは メンバーである3人の努力だけではありません 事務所の社長・副社長・音楽プロデューサーをはじめ 周りのスタッフの力があったからこそです その上バックバンドであるMMPはもちろん 作詞・作曲の人々も皆3人のファンとなり キャンディーズという事象が起きたのです 顧客とスタッフ そして当の3人たちまでもが キャンディーズの大ファンでした
02 〇〇48であるとか〇〇坂と並べる論調がありますが コーラスのトリオはそれぞれ役割を持ちます 群舞が特徴のグループとは全く別のものです マーケティングの参考にしたのは事実でしょうが 比較する対象ではありません
ただ単に歌の上手いアイドルでは括れない ビジュアルに恵まれたコーラスグループというだけでない やはりキャンディーズとしか言いようがない 本物のエンターティナーです キャンディーズに比肩しうるグループはないでしょう
03 ザ・ピーナッツは声量があります また声質が同じなので ハーモニーに厚みが感じられます キャンディーズのハーモニーは 甘やかな透明感が特徴でしょうか 存在感を示すよりも情感の奥行きがあります
ザ・ピーナッツは けっこうアヴァンギャルドなイメージで売っていたと思います キャンディーズの3人はどちらかというと慎ましい感じです
「ふりむかないで」「恋のバカンス」を聴くと表現の違いが明瞭です デュオとコーラスグループの楽曲の組み立て方か
04 YouTubeに上がっているのは レコードが音源のものも多いですが 40年前の録音なので マルチトラックで音量は調整しても 3人揃っての一発録りだと思います レッスンの様子を録音した音源でも 本当に熱心に歌・コーラスワークと取り組んでいます 映像を見ていて気づいたのですが どんな振りでも体軸がぶれていない 発声の基礎がしっかりしているからです
ライブの音源を時系列で聞くと 初期の頃も下手ではないのですが わずか4年の間の成長ぶりは目を見張るものがあります これにはMMPとの出会いが大きかったと思われます MMPの参加で圧倒的なドライブ感(というのかな)が加わった感じを受けます MMPはキャンディーズの音楽性をサポートするにとどまらず キャンディーズのファンであったでしょう まさにコラボレーションです
05 昭和の歌手は TVの歌番組でも生演奏で歌っていました(下手はいつの時代にもいて いわゆる口パクもありましたが) キャンディーズの場合アイドルグループということで 振り付きです なのにライブで歌ってレコード音源と差がない しかも生演奏・生歌に加えて 振りではマイクのコードさばきが必要な時代です 大した実力です 「恋のあやつり人形」の人形振りなど かなり体力を使うのに 安定した歌いぶりを見せます 音合わせの時でも必ず振りをつけていたそうです エンターテインメントとして楽曲と一体なのです
06 3人は他人同士ですから 容貌も違えば個性もそれぞれです しかしどこか共通した雰囲気を持っています だからこよなく気が合ったのでしょうが 3人の仲のよさは生涯続くことになります 偶然とは思えない出会いです
3人の歌声を例えるなら 天(ラン)地(ミキ)人(スー)ではないでしょうか 愛嬌と親しみの田中好子 どこか浮揚感のある伊藤蘭 コーラスを支える藤村美樹 というところです 人柄では ミキは天然だがしっかりしている ランは文学少女ながら気配りできる スーはムードメーカーの甘えん坊 3人に共通するのは 素直で真っ直ぐ一途なところです そして何よりも仲の良さ これが楽曲に表れています
07 キャンディーズはバラエティ番組にも躊躇なく 難しい歌をさらりと歌いこなし どんな衣装も着こなしてみせますね 比較的おとなしい衣装が多かったが 大胆なものもありました(網タイツ姿でも なぜか気品と清純さを失わない) 本格的なコーラスグループとして歌を届けるのと何ら変わらない オーディエンスを愉しませるプロ意識のなせることです
08 40年も前の話です TVが元気な頃でした キャンディーズもレギュラーだった『8時だョ!全員集合』は 視聴率が常時30%を超えていたと思います(占拠率の数字は覚えていませんが あの頃は全家庭がTVをつけてましたね) ザ・ドリフターズのコントは 緻密な計算のもとに成り立っていました
ザ・ドリフターズはバンド(冗談音楽)として始まりました 言葉よりも動きの笑いです コーラスグループであるキャンディーズが コントに取り組むこと間のとり方がうまいのも エンターテイナーとして共通点があるのかも知れません
09 ある歌番組で伊藤蘭が病欠したことがあります 残りの藤村美樹と田中好子は出演したものの 新曲を歌うことはありませんでした(ア・カペラで歌い出し部分だけ紹介しましたが) その新曲「春一番」は3人揃ってのフルコーラスでした ほとんどユニゾンの曲です コーラスグループとしての矜持を保ったのだと思います おそらく彼女たちの意志だったでしょう(仲のよさの表れでもあります)
10 3人は天与の才能というより 努力の人たちであったと思います キャンディーズである間は「普通の女の子」の生活を求めない という決意で限界まで突き進んだのは想像に難くない 「ここまで全力で走ってきましたから(解散するのは)まったく悔いがありません」と言い切ってましたね 目標に向かって努力するのも才能の一つです
11 最初はNHKの番組「歌謡グランドショー」のマスコットガールとして採用された3人です キャンディーズというグループ名もこのときに付けられました オーディションというのは番組出演時のことでしょう
ハリウッド映画はプロデューサー・システムなので 出演者もスタッフもオーディションを受けなければなりません オファーの仕事なんてごく一握りの人です NHKも番組制作はプロデューサーが全権を持っていて オーディションがあります(いちど合格すれば他の番組にも出られますが)
ナベプロとしては最初から この3人をグループで売るつもりだったと思います スクールメイツ時代から大変仲がよく いつも3人一緒だったようで ♪なぜか気が合うて別れられぬ まさに同期の櫻でした
12 以前ボーカルが加わったジャムセッションを聞いたとき ジャズボーカルは楽器の一つなんだなと感じました その線上にスキャットがあるのではないでしょうか
コーラスグループも同じ気がします バックバンドとの呼吸が重要ですし 一方で実力のある歌い手ならア・カペラも成立します 歌も他の楽器と同等のパートなのです
13 3人が東京音楽学院に入学したのは1969年から1970年 キャンディーズとしてデビューしたのが1972年 レコードデビュー1973年ですから 2〜3年間音楽の勉強をしてきたわけです デビューしてから3年間は全力で頑張ると決めたのも そのへんから来ているのでしょうか
中学生から6・7年間 青春のすべてを音楽に捧げてきたのです 「普通の女の子(の生活)に戻りたい」は 彼女たちの切実な気持ちが吐露された言葉です 今と違う生活に憧れる若い時期はあります 普通の感覚を持って自分の人生と真剣に向き合っていたということです
14 「ロマンチストな私ラン ちょっとボーイッシュなミキ ちょっぴりセンチなスー」という惹句が示す それぞれのキャラクターに ファンは自分の思いを仮託します 際立つ個性がない3人は イメージが抽象化した面があります 当時のファンも節度を保ち ナイトを任じていたかのようです ほどよい距離感を持ち 身近なようでいて 現実にはない世界観を形作ることになります
15 はじめの頃のコンサートでは ミュージカル仕立てのキャンディーズ物語といった寸劇をやっていました 内容はキャンプ場で知り合った3人が 歌手になるためオーディションを受けるが 一人が間に合わなかったみたいな アイドルにありがちなものです(実際に藤村美樹は1年遅れで東京音楽学院に入学しています) これが本格的な歌唱力を身につけるに連れ コーラスグループとしてのストーリーとなっていった
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結婚と姓・性

別姓

夫婦別姓を認めろと唱える勢力があります 姓を個人の属性だと思い込んでいるから そんな見当はずれなことを言い出すのです 戸籍謄本を見れば個人には名しか書いてありません 姓は家名(戸籍名)なので当然一つだけです
結婚すると新たな戸籍ができます 一つの戸籍に二つの姓があったら 戸籍制度そのものが成り立ちません[01] … Continue reading フグ田家が磯野家と同居するのとは 根本的に異なります[02] … Continue reading

旧姓とは実家(正確には生家)の家名のことです しかし 実家の家名に拘泥する自分たちの信条を 法律で正当化しろ というのは違うと思います 旧姓を名乗ることのどこが女性の自立ですか[03] … Continue reading この者たちは家制度に固執しているだけです
そんなところに個人のアイデンティティはない むしろ親離れしていないと言えます 日本社会は戸籍名以外を認めない風潮があります[04] … Continue reading 旧民法がなくなっても いまだ家制度にとらわれているのです 

同性

他国のように戸籍制度を廃止して 出生証明書にラストネーム(サーネーム)を記載するようにしないと不可能ですね 同姓同士の結婚なら そんな問題は起きないのですが
同姓といえば 同性同士の結婚を認めろと 唱える連中まで現れました 日本にソドムとゴモラの世界を再現しようとでもいうのでしょうか

いろんな宗教がありますし 信教の自由もあります 日本は多宗教の国です そんな邪宗は許さないという必要はない 性についても大らかな歴史があります
東海道中膝栗毛の弥次さん喜多さんが 男色関係だったのをご存じですか たしか静岡出身の設定でしたが 江戸へ逃げてきたのは 妻を殺したからであって 男色を咎められたわけではありません[05] … Continue reading

制度上でも社会的にも 取り立てて男色が非難されていない 天から火が降ってきて焼き尽くすこともないのです
それでも こんな不健全な生活をしていてはだめだ 改めようと決心して お伊勢参り[06] … Continue readingをする筋立てです といっても関係を解消する様子はない

憲法が絶対の権威

何でもかんでも法律で細かく規定しようとするのは 古代ギリシャの立法家ソロンによる改革が思い起こされます 当時の世相がどうだったか分かりません オリュンポスの神々の威光が失われていたか 自分勝手がまかり通る今の日本と似て 乱れた世だったのでしょうか
夫婦別姓にしろ 夫婦同性にしろ こういうことを唱える連中は 必ず現在の法律を憲法違反だと主張します モラルやコモンセンスの規範を 憲法に求めているのです[07] … Continue reading

たしかに一神教でない日本には 法律以前の規範を定める権威がありません 江戸時代は朱子学を規範にしようとしました 陽明学もありましたし 石門心学が流行しました 明治に入ってからは 武士道[08] … Continue readingなんてのを持ち出しています
他国から持ってきた教えや他国に決めてもらった憲法を崇拝する 様々な価値観があっていいのですが 憲法を絶対視するのはちょっと違う気がします 法律が正義とは言えない悪法はいくらでもあります 現行憲法はアメリカの価値観ですし 民法より遥か後にできました そぐわないのは当たり前のことです

註釈

註釈
01 戸籍制度があるのは世界で日本だけです 他の国は結婚しても離婚しても そもそも姓が変わることはありません 別姓が認められているという言い方は 誤解を招きます 誤解させるために言ってる? プロパガンダの手口ですか
他国では姓は出生証明書に書いてあり 結婚とは無関係です しかし社会生活上では通称名として夫の姓を名乗るのが普通のことです 夫と妻のラストネームを併記するのも通称名です もし戸籍で併記を認めたら寿限無になってしまいます
02 代々 娘が母方の姓を継いでいる家を知っています 熊野大社の社家の家系です 日御子・巫女(神子)・斎王などでわかるように 古来神に仕えるのは女性でした そのへんの伝統から言い伝えられたことでしょう これはかなり特殊な例だと思います
03 中国や韓国が女性の権利を認めているから 夫婦別姓というのは まったくのデマゴギーです 結婚で姓が変わらないのは他国同様ですが 通称名でも夫の家名を名乗ることができないのです また同姓同士は結婚できないという慣習があります 夫婦別姓ではなく夫婦同姓が認められない社会なのです 一部新聞はなぜ このようなフェイクニュースを流すのでしょう
04 一般的に現在の戸籍名を本名とし 生家の戸籍名を旧姓といいます 旧姓に対するのは 新姓ないし現姓でいいんじゃないですか これを本名というのは権威主義だと思います(戸籍名は離婚・再婚すれば変わるのだから本名ではありません)
生家のことを実家という言い方も改めるべきでしょう 新たに一家を立てるのであって婚家ではないのですから これも明治時代の家制度の残滓です
05 人別帳(住民票)に記載されていない人は長屋を借りることもできず 通行手形も発行されません しかし弥次さんの伝手で住まいを見つけ弥次喜多道中もできました お上が絶対ではなく融通をきかせる 明治以降より自由な社会だったのです
06 お伊勢参りは御師と呼ばれる人たちのキャンペーンで流行しました もともと寺社への参詣は物見遊山で 観光客の落とす金が寺社と周辺の経済を潤します 富士講やお伊勢参りは宿泊とセットになったパック旅行のようなもの 信仰に基づいたものでなく 明治期にできた神社神道とも別ものです
07 この問題の本質は 戸籍に記載された文字と 1点1画の違いもだめだとする役人根性です 旧姓を通称名として使えれば済むことで 民法改正云々の話ではない
話題になった「令」の文字にしても 明朝体と教科書体の文字デザインの違いに過ぎない 欧文でいえばローマン体(明朝体のもと)とスクリプト体(筆記体)の違いみたいなものです
小学校のとき「子」の縦棒を直線で書いたら 先生から弧を描くように書くものだと言われました 筆書きで明朝体をなぞった人は 活字が正しいと思っていたのでしょう 小学生レベルです
戸籍のフォントはIPA明朝です これと合わせるにはウロコも書かなければならない でもボールペンで書いたらゴシック体になってしまうし 困ったものです
08 武士道という言葉は 江戸時代に言われていた士道じゃなく キリスト教徒である新渡戸稲造が 日本には武士道という道徳規範があるとして書いた 英語の本がもととなって広まりました 聖書のように体系化された武士道なんてありません
葉隠は鍋島藩の歴史が主な本です 武士道云々はその中の一部に過ぎません 藩士として勤める心得は書いてありますが 士道の解説本とはいえない また山岡鉄舟が武士道という言葉を使っているようですが ともに一般的なものではなかった
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