このごろ 同棲・内縁関係を「事実婚」と言い換えている勢力があります 日本には事実婚という制度も用語もありません 婚姻届けを提出しないのは内縁関係です
また事実婚と内縁関係は同義語でもありません 夫婦別姓を認めろと言っている連中と同根かと思われます 何を意図したプロパガンダかは分かりませんが
後段で書いているように 日本の制度で出生届は名だけです 姓はその時の戸籍の呼称ですから 籍が変われば姓も変わります 諸外国は出生届にフルネーム(姓・名)を記載し 生涯変わることがありません(戸籍制度はないので 姓と名はともに個人の属性です)
けれども結婚した時には通称名として夫の姓を名乗り 子の姓も父方のサーネームにすることが多いようです 家族の一体性を大事にするのは万国共通です
結婚式を挙げる意味 事実婚の由来
キリスト教国の結婚式は教会で執り行います よく映画などで「汝はこの女を妻として……誓うか?」と神父なり牧師が問い「はい誓います」と新郎が答えます この誓約が結婚式の本義となります
それでは何に対して誓うのでしょうか 二人で誓いあうのでもなく 参列者に誓うわけでもありません 神に約束するのです 牧師・神父は立会人として 神への誓いを司ります
キリスト教の結婚式は 婚姻を神と約束するものだからです この約束は個人と神の契約なので双方が誓う必要があり 新婦にも同じ内容を問います 花嫁が誓う前にかっさらえば結婚は成立しません(昔そんな映画がありました 多くの日本人は単に 結婚式を台無しにした狼藉者 ぐらいにしか見てなかったようですが)
死が二人を分かつ時までとは この世にある限りという意味です 神を証人にして永遠の愛を誓うわけではない 死んだ後は神の兵士として天国に召集されるので 婚姻が永遠に続くということはありません 婚姻の契約は死とともに解約されます
カソリックでは離婚が認められません 神との約束を破ることになるからです 神に誓ったことを守らなければ死後は地獄に落とされ 悪魔の手先とならなければなりません 生きている間も棄教した者としてコミュニティから爪弾きされます
さて世の中には そこまで神と約束できないという人がいます 離婚することが悪魔に魂を売り渡すとなると 迂闊には結婚できないとか 死ぬまで一緒にいる自信がないという場合もあるでしょう
そのような時は結婚式を挙げず 市役所等に婚姻届だけを提出します 神との約束を避け法制度上の結婚をするわけです(戸籍制度がなくても婚姻届の制度はあります) 神との約束は法に優先します この場合は市長などが立会人を務めます 日本の婚姻届の証人に当たります
これが事実婚の制度です つまりキリスト教国(とくにカソリック圏)特有のものなのです もちろんキリスト教国でも婚姻届を出さないで同居する人たちはいるでしょう それは事実婚とはまったく異なります 法に基づかない同棲・内縁関係です
キリスト教国で社会的また法的に 内縁関係というものが容認・保護されているかどうかは知りません 結婚式はきわめて宗教的なものですし 生まれた時に洗礼を受けることから始まり 生活の全てに宗教は関わっています 日常生活に宗教の規範が及びますから 日本ほど内縁関係に寛容ではないと思います だから事実婚という制度が必要になったのです
結婚と家族の姓、諸外国と日本
夫婦・親子の姓については それぞれの国の家族に対する慣習・歴史から規定されていることです 祖父の名や姓を氏に冠したり 夫婦の苗字をつなげたり 代々の祖先名をミドルネームに取り入れたりと諸外国には様々な習慣があります
戸籍制度のない国のほうが多いので このような姓は家族関係を明確にするという意味合いがあります Mc〜・〜son・Fitz〜・〜vicは 全て〜(父方)の息子という意味です
王族なので姓はありませんが シャーロット・エリザベス・ダイアナは ちょっと物悲しいですね イギリス国教は離婚可能です 王様が自身離婚するためにカソリックと袂を分かつことにしたのです
簡易結婚式で有名なラスベガスでは ドライブスルー結婚まであるそうです(これなんかも事実婚といっていいでしょう) ある州で発行された婚姻証明証が全米で通用します 商標登録(® ™)と同じような制度です 各州ごとの自治制ゆえのことです
アメリカには戸籍制度・住民基本台帳(日本の住民票に相当するのは SSNや納税証明書など)はないので 結婚しても離婚しても姓はそのままです 出生届の姓名が公式名で生涯変わりません
子が生まれれば出生届を出します 両親の姓名とラストネーム・ファーストネーム・ミドルネーム(必須ではない)が記載され これが本名(フルネーム)となります
ラストネームはサーネームとも呼ばれ本来は家系を表します 日本で言えば氏・姓に相当します アメリカでも父方のサーネームにするのが一般です 母方の苗字(名字)を付けることはまずありません ミドルネームを母方の姓にする例はあるようです
ただ結婚で通称名を変えることは多々あります 大半が夫の姓を名乗ります ヒラリー・クリントンは本名じゃありません あえてクリントンを名乗るのは選挙戦略上のことです 結婚したら夫の姓を名乗る よき家庭婦人をアピールすることになります
あるいは通称名として双方の姓を併記するのもあります 婿養子という概念はないので 通称名に妻の姓を名乗ることはほとんどありません とくに通称名を名乗らなければ姓はそのままということです
社会生活上は強制されずとも夫の姓を名乗る 子供の出生は父の姓で届ける アメリカは多民族・多宗教の国ですから これが世界の常識を表すのではないでしょうか
日本では結婚して分家に出るとき氏の文字を変えたり 住んでいる地名が通称になりそのまま氏として名乗ったりと 融通をきかせた扱いが目立ちます そのため日本の氏姓は世界でも珍しいほど多様となりました 中国・韓国と違って生家の家名にそれほど拘りがなかった証左です
家系とか出自をことさらに言い立てるのは かの国の習慣のようですから 孔子の子孫を名乗る者が世界中で数百万人いるそうです(有料の登録制らしい)
夫婦別姓を言い触らす連中は 大陸・半島に倣ってのことかもしれません アメリカの中国系・韓国系は 世界の常識からかけ離れて夫婦別姓です
婚姻、日本の伝統
日本の結婚式は花嫁の披露宴(お披露目)です 白無垢衣装で実家を出て婚家に入り 誕生を象徴する赤い衣装に着替えます(お色直し) 生家から婚家に生まれ変わることになります 実家の両親は披露宴に連ならないので 花嫁道中は仲人が先導するわけです 婿入りの際は聞いたことがなくよく分かりません たぶん同じだと思いますが お色直しはあるのだろうか
婿入りも嫁取りも考え方としては養子に近いものです 帰属する組織(家)が変更になったことを公に周知するもので 宗教的な意味合いはありません ですから離婚(離縁)も比較的自由です 三行半とか駆け込み寺ですね
日本では古くから戸籍制度が整っていて 息子が家督を継ぐ資格を得るのは 成人して幼名から名を改めて後(武家は17歳で嫡子として届け出る)になります この改名ないし襲名の儀式を官途成(かんどなり)と呼び 家督相続の婿入りと同等に扱われます 事情により廃嫡もあります
落語なんかに出てくる勘当は人別帳から除籍することです 相続権を失うだけでなく無宿人になってしまいます いったん除籍すると復籍は非常に困難です 町役人もその辺は心得ていて よほどのことがなければ通常は人別帳から外すことはなかったようです
武家が家を大切にしたのは 俸禄が家に対して下されるという事情のためです 武家社会は本来軍事組織(一家が小隊か中隊に相当します)です 男子が家を継ぐのも軍事組織ゆえのことです
家禄は戦に備える意味で兵糧米として支給されます(米が貨幣の代わりに流通したわけではありません) 太平の世になってもこの慣習は続きました 今が平和といっても戦が起きないという保証はないのです
商家もこの習いを継承しました 主な理由はのれん(ブランド)を守るためです 武家の家名も一種のブランドです どちらも子がなかったり娘しかいないときは婿を迎え入れました 相続の際に長男であるとか血統はさほど重視されません
とくに商家や剣術道場などは実力主義ですから 長男がいても養子を迎え入れることはよくあります あとは分家とか暖簾分けとかで辻褄を合わせたりですね
武家でも嫡子は正室の長男と決まっていないので お家騒動が起きることになります
婚姻には嫁取り婚と婿入り婚があったわけで 男女どちらにしろ新しく家族に加わるということです 家付き娘という例もあります(淀の方が実子に拘ったのが豊臣滅亡の原因?)
商家は屋号の元で武家は家名の元で一家を成します 明治以前は嫁や婿が別姓だったなんてデタラメです 姓は家を表し個人には名しかないのですから
女性が虐げられていたとか男尊女卑の社会などというのは 日本の伝統をないがしろにし事実を歪曲するための 言いがかりに過ぎないのです
日本では巴御前から始まり 肝っ玉母さんに至るまで 女傑の話はいくらでもあります 娘だけでなく嫁が家を継いだり 家付き娘が婿を離縁するなんて時代劇でおなじみです
夫婦別姓論のまやかし
アメリカでは出生届の姓名(フルネーム)が一生涯変わりません しかし戸籍制度がある日本では 婚姻届によって姓を変更できます 中国人が日本名を戸籍名として名乗ることもできるのです
男女どちらも出生届は名前だけで姓は仮のものということです 別な言い方をすれば日本には戸籍名があっても《フルネーム(本名)》がないのです これを家制度といえばそうかもしれません
諸外国では暗黙の社会階級制・身分制がいまだに維持されていて それぞれが独自のコミュティを形成しています 難民・移民・流民も同様です 〇〇タウンを形成して相互共同生活を営みます 階級は固定されていますから 戸籍に相当するシステムが必要なかったのでしょう 家制度ではなく族長制度なのかもしれません
別のコミュニティ同士の行き来(婚姻も)はなく時には対立抗争します ロメオとジュリエットやマイ・フェア・レディそれとウエストサイドストーリーの世界かな 私は見たことないのですが 韓流ドラマとかいうのも身分違いの恋愛話が多いそうですね
日本国憲法の英語原文を機械翻訳させると「結婚は男女両方の相互同意だけに基づきます、そして、それは基礎として夫と妻の平等の権利との相互協力を通して維持されます。」です アメリカの結婚観をベースにしているように見えます
GHQ(国連軍総司令部)草案では日本の家族制度を否定する文言があったようです 浅はかな誤解と偏見によるものなので削除され このような形に落ち着きました(常任理事国と敵国条項がいまだ残る国連は 別に公平中立な組織ではなく 世界の良識を反映しているわけでもありません)
諸外国にも家制度はあり 現在に続いています ヨーロッパの貴族社会も家産を守ることが代々当主の務めです ただし当主の妻に財産の所有権はなく 社交のための経費は持参金で賄うのが通例です(女王陛下はどうなんだと言われるとよく分かりません)
つまり玉の輿はない シンデレラでも必要な衣装などは魔法で調達しています 婿入りもありました この時は当主として入るので財産を引き継ぎます 貴族は日本の武家と同じく軍事組織でしたから 王様の命で兵員を供給する義務がありました 財産を分割したら軍事費をまかなえません
世界的に夫婦別姓が多くなっている といった言い草は全くのデマゴギーです もともと戸籍制度がないため 結婚しても姓が変わることはない というだけのことです 結婚したら自由に姓を選べるなんて国はどこにもありません 本名(フルネーム)は一生変わらないのです
それにもかかわらず 通称名で夫の姓を名乗ったり夫婦の姓を併称する国が大半です(出生届を改名まではしません ニックネームが社会的に通用するのです) これをどう考えますか 家族の一体性を大事にするということでしょう それが世界の常識であり日本の伝統も同じことです
朝鮮半島で結婚しても女性の姓が変わらないというのは 両班の世界は嫁に相続権がないことからです(このへんは西洋貴族社会と似ています) 儒教に基づく中国の身分制に由来する 厳格な家父長制が今でも続いているのでしょうか
移民・流民がコミュニティを形成して暮らすのは 世界的に見れば普通のことです 日本において頑なに帰化しない第三国人がいるのも常識的な姿といえます 民族性や宗教・歴史を無視し日本人と同じに扱うというのは 固有の文化を認めない一種の同化政策志向かと思います また日本人が彼らの慣習の真似をして 夫婦別姓を主張するのも おかしなことです